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第159話「仮面ノ暗殺者」 ページ34

その日,探偵社は動揺に包まれていた。



「社長が襲われたって本当ですか!?」

「嗚呼,一命は取り留めたが謎の症状で意識不明。
与謝野先生でも治せんらしい」

「そんな………」



聞き込みによると,ここ最近似た暗殺事件が頻発してるらしい。
路地裏で異能者が夜襲を受け,既に何人か死者が出ているとか。



「犯人の特徴は?」

「正体不明の異能を使う事と,仮面を被っている事だけ」

「ではその仮面の暗殺者が社長を襲撃した,と」



蓮華は不安に駆られながらも状況を咀嚼する。



「尤も,私達が走り回る前に犯人は死ぬかも知らないけどね」

「え?」

「街で“異能者殺し”が大活躍して,一番困る組織は何処だと思う?」

「……異能特務課ですか?」

「逆だ。…ポートマフィアだよ」



“ポートマフィア”
その組織の名に蓮華は納得した。
確かに裏を取り仕切るマフィアが,自分達の縄張りでの暗殺を黙って見過ごす訳が無い。
若しマフィア側に犠牲者が出てしまえば……



「マフィアの威光も地に落ちるという訳か。
だが被害も出る前から動くか?」

「“常に先手が勝つ”
森さんの口癖だ。必ず動くさ」



マフィアの網は深く広い。
確かに彼等なら今頃,隠れ家くらい突き止めているだろう。



『そう簡単に捕まるやろうか』



武術の達人である福沢を襲撃した相手だ。
恐らく簡単に尻尾を出してはくれないだろう。



「蓮華ちゃん,大丈夫?」

「え?」

「否……何か最近顔色悪いから」



思わず長い溜息を吐くと,敦が心配そうに覗き込んでいた。
優しい友人の気遣いに蓮華ば微笑む。



「大丈夫ですよ。ちょっと変な夢が続いていて」



いつか見た,雨の中血塗れの青年と少女が対峙する夢。
それは日が経つ毎に鮮明になっているのに,肝心な所でモヤがかかるのだ。
そして目が覚めると,何とも言えない喪失感と懐かしさに涙が溢れる。



『自分でも…よく判らない。
でも………ただの夢とは思えなくて___________』



蓮華はふと窓の外を見た。
何時もと変わらぬヨコハマの街。
そんな通常通りの風景なのに,思わず言葉を失った。



「あれは………」



向かいにあるビルの屋上に靡く,白い襟巻き。
この世界に来てから何度も見かけたあの青年が,ほくそ笑んで立っていたのだ。
しかしその青年は直ぐに立ち去ってしまった。



「待って!」

「おい蓮華!何処行くんだ!」

「直ぐ戻ります!」



蓮華は周りの制止の声も振り切って走り出した。

第160話「桜の木の下には……」→←第158話「死神と______」



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作品ジャンル:アニメ
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星木雪野(プロフ) - 北見梨衣さん» コメントありがとうございます!気に入って下さって何よりです!ご心配をお掛けしますがこれからも宜しくお願いします! (2020年3月26日 0時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
北見梨衣(プロフ) - 体調大丈夫ですか?いつも楽しく読んでます!更新できる時にして無理しないでください。待ってます! (2020年3月25日 23時) (レス) id: 9b1e229f39 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星木雪野 x他1人 | 作成日時:2020年1月11日 0時

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