第155話「ヘルリス!」 ページ30
「あの後大丈夫だった?」
「少しお叱りを受けましたが…何方かと云うと心配してくれた感じでした」
慌ただしい休日から一夜経ち,喫茶『うずまき』の道中で敦は恐る恐る尋ねた。あの時の太宰はとても冷えた目をしていたから。
「でも髪飾りも買えたし楽しかったですよ」
「髪飾り?」
「ええ,Qが選んでくれたんですよ」
敦と一緒に話を聞いていた鏡花が尋ねると,蓮華は微笑んで説明した。
『そういや太宰さん何か不満そうやったなぁ…』
あの後お叱りを受けたが,太宰はそれでも不機嫌そうだった。
不貞腐れたような表情に見え隠れしていたのは…
『…嫉妬?彼が……いや,真逆,流石に無いか…』
何か色々面倒な事に気付いてしまいそうでこれ以上考えるのは止めた。
店内に入ると奥から凄い顔で睨んでくる給仕___モンゴメリが現れた。
「いらっしゃいませ」
『忘れてた,この店には彼女が……』
「空いてる席ありますか?」
「いい床が空いてるわ」
席に座ると彼女は憎しみを込めた瞳でお冷を置いた。
組合解体後,この店で住み込みの給仕を始めたらしい。
「ええと…久方振りだね…元気?」
「貴方,あたしが何故探偵社の一階にあるこの店に居るか判って?」
その言葉に敦は戸惑いの表情を見せた。彼には全く心当たりが無いようだ。
モンゴメリは呆れたように溜息を吐く。
「復讐よ,貴方へのね」
「復讐?」
「決まってるでしょ。心当たりが無いとは言わせなくてよ」
「でも,以前君は白鯨で僕を助けて…」
「温牛乳,砂糖入り」
敦の言葉を遮るように鏡花は注文する。
するとモンゴメリは舌打ちして去って行った。
「大丈夫,何かあれば先に刈り取る」
「あかん」
短刀を取り出す鏡花にツッコミを入れる。
「敦…あの子にセクハラでもしたん?」
「してないよ!?」
「うん,流石に冗談やけど…」
蓮華はチラリとモンゴメリを見遣り,思考する。
『何が有ったかは知らんけどまぁ…根強い悪意は感じられんし…』
「あ,忘れてたわ」
するとモンゴメリは思い出したように机に書類を置いた。
「変な人が来て探偵社に依頼ですって。此処に来るだろうから渡してくれって」
「依頼?」
敦が書類を取ろうとすると,モンゴメリはそれを遠ざける。
そして鏡花に差し出した。
「貴方にじゃ無いわ。そこのおチビさんによ」
「………私?」
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星木雪野(プロフ) - 北見梨衣さん» コメントありがとうございます!気に入って下さって何よりです!ご心配をお掛けしますがこれからも宜しくお願いします! (2020年3月26日 0時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
北見梨衣(プロフ) - 体調大丈夫ですか?いつも楽しく読んでます!更新できる時にして無理しないでください。待ってます! (2020年3月25日 23時) (レス) id: 9b1e229f39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星木雪野 x他1人 | 作成日時:2020年1月11日 0時