第119話「甘酸っぱく弾けて」(リク) ページ36
さくさくサック様,リクエストありがとうございます!
☆星木雪野☆
***
蓮華は兎に角混乱していた。
現在医務室の寝台に乱歩と並んで座っており,しかも彼は首元がはだけて甘い匂いを放っている。
「……以前簡単にはあげないとか云ってませんでした?」
「うん。でもこのままだと絶対太宰が無理矢理飲ませるだろうから」
「そんな大袈裟な………」
そう云った蓮華だったが,先日Q奪還作戦の時の太宰の言葉を思い出した。
『まぁいざとなったら口移ししてでも無理矢理飲ませるさ』
たちまち蓮華の顔が青褪める。
「し,失礼します………」
一言断りを入れてから身を預ける。
蓮華は既に彼の首筋に額を擦り付けていた。
「ッ…」
首筋に牙を立てた瞬間に聞こえた小さな呻き声。
出来るだけ痛みの無いように慎重にその血を啜る。
『甘酸っぱい……果実というより,ラムネ?』
そう云えば彼はラムネを良く飲んでいたなと考えながら,一度吸血を止める。
乱歩は少し頬を染めた蓮華を興味深そうに眺めた。
「………血なんて美味しいの?」
「人に……寄りますね。私の場合は…不味くても飲まないといけませんし」
「ふーん…まだいる?」
「はい………あ,でも」
再び牙を立てる直前,乱歩の耳元で吸血鬼は甘く囁く。
「貴方は…割と上等やと思うで」
表情には出なかったが,あからさまに肩を震わせていた。
悪戯心が働いて少し勢い良く吸ってみると熱っぽい吐息が聞こえた。
「蓮華さぁ………そういうところだよね」
「………はい?」
傷から流れる血を舐めとると,乱歩が不意にそう云った。
訳が判らず首を傾げていると彼は片手を額に当てて溜息を吐いていた。
「そんなんだと良からぬ狼に喰われるかもよ?」
「その時は…其奴の頸を思いっきり噛みちぎる」
「守りがいの無いお姫様だねぇ君は」
口の端から流れる血を拭い舐め取る姿は酷く妖艶で,乱歩も柄にも無く見惚れていた。
そして再びやれやれと溜息を吐く。
『…今なら太宰の気持ちが判る気がする』
そんな事を知る筈も無い少女は潤んだ紅の瞳で不思議そうに此方を見つめ返すのだった。
***
あけましておめでとう御座います!
8,000hitを超えて嬉しい気持ちで年を越しました。
まだまだ未熟者ですが、今年も宜しくお願いします!
そして、これからも私と花柳蓮華の応援宜しくお願いします!!
☆星木雪野☆
第120話「通信室にて」→←第118話「天の海をゆく白鯨のありて」
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星木雪野(プロフ) - さくさくサックさん» あけましておめでとうございます!随分と遅くなってしまいましたが、喜んで貰えて光栄です!私も乱歩さん大好きなので、また蓮華と絡ませようかなと考えております!汚濁の中也さんも本当良いですよね!!これからもよろしくお願いします!! (2020年1月2日 13時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
さくさくサック(プロフ) - ありがとございます!!本当に乱歩さんかっけぇ…汚濁の時の中也かっけぇ…そしてあけましておめでとうございます!! (2020年1月2日 12時) (レス) id: f14b80ed49 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - みんみさん» ありがとうございます!気に入ってくれたようでとても嬉しいです!まだまだ未熟者ですが・これからもよろしくお願いします! (2019年10月23日 15時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
みんみ(プロフ) - もうどハマりしてます!!ゆっくりで大丈夫ですので続きを楽しみにしてますね! (2019年10月23日 2時) (レス) id: c8f4f596b6 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - 海石榴《ツバキ》さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!これからも頑張って続けて行こうと思いますので、これからもよろしくお願いします! (2019年10月20日 11時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星木雪野 x他1人 | 作成日時:2019年10月19日 22時