第107話「とある二大組織の会談」 ページ23
風が木々を撫でる音が聞こえる。
穏やかなそれとは別に,蓮華や他の探偵社の者の表情は固かった。
「谷崎さん…今二人共見えてへんやんな?」
「うん。大丈夫だよ」
現在蓮華は谷崎の異能で姿を消している。
すると公園の入り口から複数の足音が聞こえた。
「ポートマフィア首領,森鷗外殿」
「武装探偵社社長,福沢諭吉殿」
此処にヨコハマ二大組織の長達が対峙した。
今までにない緊張感が流れる。
「単刀直入に云おう。探偵社の或る新人が,貴君らポートマフィアとの『同盟』を具申した」
「ほう」
勿論福沢は反対した。
しかし,それを提案したのはマフィアに何度も危険に晒された敦だ。言葉の重みが違う。
「同盟はならずとも一時的な停戦を申し入れたい」
「興味深い提案だ」
しかし,それは限りなく不可能に近い。
何故ならこの協定には違反をしても罰する者が居らず,先に裏切った方が利益を得るからだ。
あるとすれば完全なる協調だが__________
『それも有り得へんな』
マフィアは面子と恩讐の組織。
探偵社には何度もその面目を潰されている。
その時、福沢を纏う気配が変わった。
「では,こうするのは如何だ?
__________今此処で、凡ての過去を清算する」
突然の殺気に立原と銀が襲いかかる。
しかし,二人の持つ武器は福沢の刀によって呆気なく破壊された。
そしてその刃は森の首元に突き付けられる。
「……刀は棄てた筈では?孤剣士『銀狼』__福沢殿」
「手術刀で人を殺す不敬は相変わらずだな。____森医師」
森もまた,福沢の喉元に手術刀を添えていた。
二つの刃が互いを捉えるように光る。
「相変わらずの幼女趣味か?」
「相変わらず猫と喋っているので?」
すると福沢の姿が雪のように溶け始めた。
「!?」
福沢の代わりに現れたのは蓮華だった。
先程と同じように森の首元に刀を突きつけ,真紅の瞳を向けていた。
流石にこれは森も予想外だったようで、驚愕の表情を隠せていない。
「………」
髪と同じ色の瞳が森を射抜く。しかし蓮華はすぐに距離を取った。
真紅の刀から紅い滴がぽたりと落ちる。
「………立体映像の異能か」
木の影に居る谷崎を見て呟いた。
そして目の前の吸血鬼に視線を戻す。
「……その真紅の瞳,まるでかの死神のようだ」
森は目を細めてそう云った。
***
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☆星木雪野☆
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星木雪野(プロフ) - さくさくサックさん» あけましておめでとうございます!随分と遅くなってしまいましたが、喜んで貰えて光栄です!私も乱歩さん大好きなので、また蓮華と絡ませようかなと考えております!汚濁の中也さんも本当良いですよね!!これからもよろしくお願いします!! (2020年1月2日 13時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
さくさくサック(プロフ) - ありがとございます!!本当に乱歩さんかっけぇ…汚濁の時の中也かっけぇ…そしてあけましておめでとうございます!! (2020年1月2日 12時) (レス) id: f14b80ed49 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - みんみさん» ありがとうございます!気に入ってくれたようでとても嬉しいです!まだまだ未熟者ですが・これからもよろしくお願いします! (2019年10月23日 15時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
みんみ(プロフ) - もうどハマりしてます!!ゆっくりで大丈夫ですので続きを楽しみにしてますね! (2019年10月23日 2時) (レス) id: c8f4f596b6 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - 海石榴《ツバキ》さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!これからも頑張って続けて行こうと思いますので、これからもよろしくお願いします! (2019年10月20日 11時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星木雪野 x他1人 | 作成日時:2019年10月19日 22時