第83話「街に一人で取り残されて」 ページ40
「………ナオミ？」
先程まで一緒に居た筈の彼女。
だが何の前触れもなく忽然と消えてしまった。
「……真逆」
「ナオミッ！？」
「待って谷崎さん！」
谷崎が焦った様子で走り出した。
蓮華の声も今の彼には届かなかった。
「奴等の攻撃だ！莫迦な，何の気配も無かったぞ！」
「谷崎さん危険です！」
「敵が直ぐ近くに居る筈です！この状況で単独行動は……」
冷静さを欠いた彼を追いかける。
谷崎は傍に居た白衣の男を突き飛ばした。
「！！」
瞬間，蓮華の足が止まった。
背筋に悪寒が走り，こびり付いた色濃い血の匂いに思わず息を飲んだ。
_____何故，何故“お前”が此処に居るんだ
「見付けたッ！」
谷崎が行く先には同じ赤髪を持った少女が居た。
フィッツジェラルドと共に居た組合の少女だ。
彼が手を伸ばした瞬間，彼女は不気味に笑った。
「遊びましょ☆」
すると自分以外の周囲の人間が消えた。
敦も谷崎も，白衣の男も跡形も無く居なくなっていた。
「……嘘」
血の匂いも気配も感じられない。あるのは街の騒めきのみ。
おそらくあの少女の異能力だ。
『でも何で私だけ………吸血鬼の未知の力を恐れたのか』
或いは血の能力を恐れたのか。
しかし自分は最初から手も足も出なかった。
怒りと自分の不甲斐なさに俯き，歯を食いしばる。
「！」
背中に柔らかい衝撃。
思わず心配そうに此方を見つめる鏡花の姿があった。
「鏡花？！どうしたのですこんな所で」
「心配で付いてきた」
「まぁそうでしたか…ありがとうございます」
視線を合わせるように膝を折り，彼女の頭を撫でる。
すると鏡花は両手で蓮華の頬を包み込んだ。
「………大丈夫？」
「え…」
「泣きそうな顔してる」
「………ごめんなさい。敦達が敵の異能にかかって消えてしまいました」
その言葉に鏡花は目を見開く。
しかしすぐに真剣な表情に戻った。
「………探そう。私も手伝う」
「鏡花………そうやんな。後悔してもしゃあないもんな」
蓮華は自分に云い聞かせるように呟くと，笑顔で立ち上がった。
「ありがとう鏡花。敦達を探しに行きましょう」
「…うん」
鏡花の手を取って歩き始めた。
心の中で、敦達の無事を祈りながら。
＊＊＊
テスト終わりました！
そして9000hit超えましたやったね！！
10,000まであと少し！これからもよろしくお願いします！！
☆星木雪野☆
第84話「吸血鬼と白衣の男」→←第82話「組合からのメッセージ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 116人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星木雪野(プロフ) - さくさくサックさん» コメントありがとうございます！乱歩さんですか………組合編の辺りに出せたら良いなと考えております！期待に添えられるよう頑張りますのでよろしくお願いします！ (2019年9月15日 21時) (
レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
さくさくサック(プロフ) - あ、主人公ちゃん乱歩さんの血を吸ってほしい…乱歩さんの＿＿ぐへへ〜!!!!(＾p＾三＾p＾) (2019年9月15日 13時) (レス) id: f14b80ed49 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます！関西弁になる所は個人的にとても気に入っています！これからもよろしくお願いします！ (2019年8月14日 21時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - これからも頑張ってください、応援してます！！ (2019年8月14日 19時) (レス) id: b1b20001d0 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - 初めまして…！文スト好きで、良く小説を漁っているんですがはっきり言ってこの小説めっちゃすこです。特に夢主ちゃんの関西弁がすっっっごく可愛くて！！！個人的に関西弁好きなんですが、いつもは敬語なのに時折見せる関西弁が性癖にぶっ刺さりました…。 (2019年8月14日 19時) (レス) id: b1b20001d0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星木雪野 x他1人 | 作成日時：2019年8月3日 1時
