第82話「組合からのメッセージ」 ページ39
翌日の朝，社内は騒然としていた。
ニュースを見ていると国木田が新聞を片手に飛び込んで来る。
『事件現場です！ご覧下さい。
七階建ての建物が一夜にして消滅してしまいました！』
ニュースによると，その建物にはマフィアのフロント企業が入っていたらしい。
国木田は苦々しく新聞紙を握り潰す。
「『メッセージ』とは此れか」
「やはり寮にも賢治君は居ません」
「逆らう探偵社も用済みのマフィアも凡て消す，か」
「…外道が」
賢治はおそらく見送りの時に攫われたのだろう。
ふつふつと湧き上がる怒りに拳を握り締める。
「谷崎，これ以上単独で動くな。敦と組んで賢治を探せ。
太宰は俺と会議室に来い。社長会議だ」
「国木田さん，私も賢治君を探しに……」
「駄目だ！今お前は組合に狙われてるんだぞ！」
「それは敦だって同じです！それに仲間に手を出されたのに黙って守られてるなんて出来ません！」
真紅の眼差しが国木田を射抜く。
仲間思いな彼女にとってはこの状況でじっとしていられる訳が無かった。
「……判った。だが無茶は禁物だ。敵と接触しても戦わず逃げろ」
「承知しました」
蓮華が踵を返して外に出ようとすると，すれ違いざまに太宰が云った。
「気をつけてね」
「ええ」
にこりと笑って頷くと，蓮華は街へ向かった。
＊＊＊
「……あの成金背広め，今度会ったら一発殴らんと気が済まへん」
「昨日の蓮華さんは格好良かったですわ！」
緊張感が増す中，谷崎、敦，ナオミ，蓮華は街へ賢治の捜索に出ていた。
昨日の一件ではナオミに吸血鬼については黙って貰っている。
…近いうちに他の知らない人にも話すと約束して。
「ナオミ，矢ッ張り社に戻るンだ」
「嫌よ，ナオミも捜索を手伝うわ。こんな時に兄様と離れたくない」
谷崎はナオミを心配して云うが，聞こうとしない。
蓮華も谷崎の意見に賛成だが，彼女の云う通り最も信頼する兄の傍に居た方が安全なのかもしれない。
「何よ兄様！ナオミの云う事は何でも聞くと云ったじゃない」
「昨日の夜のアレはお前が無理矢理……！」
谷崎はハッとして赤面した。
何となく気になったが，聞いてはいけない類いだろうと察した。
「と，兎に角事務員は社に戻るンだ！」
「あらあら、何なら昨日の懇願を思い出させてあ」
ナオミの言葉が不自然に途切れた。
振り向くと，そこに居た筈の彼女の姿は無かった。
「……ナオミさん？」
第83話「街に一人で取り残されて」→←第81話「たとえ人でなくとも」
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星木雪野(プロフ) - さくさくサックさん» コメントありがとうございます！乱歩さんですか………組合編の辺りに出せたら良いなと考えております！期待に添えられるよう頑張りますのでよろしくお願いします！ (2019年9月15日 21時) (
レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
さくさくサック(プロフ) - あ、主人公ちゃん乱歩さんの血を吸ってほしい…乱歩さんの＿＿ぐへへ〜!!!!(＾p＾三＾p＾) (2019年9月15日 13時) (レス) id: f14b80ed49 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます！関西弁になる所は個人的にとても気に入っています！これからもよろしくお願いします！ (2019年8月14日 21時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - これからも頑張ってください、応援してます！！ (2019年8月14日 19時) (レス) id: b1b20001d0 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - 初めまして…！文スト好きで、良く小説を漁っているんですがはっきり言ってこの小説めっちゃすこです。特に夢主ちゃんの関西弁がすっっっごく可愛くて！！！個人的に関西弁好きなんですが、いつもは敬語なのに時折見せる関西弁が性癖にぶっ刺さりました…。 (2019年8月14日 19時) (レス) id: b1b20001d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星木雪野 x他1人 | 作成日時：2019年8月3日 1時
