第77話「神のみぞ知る、戦争の予兆」 ページ34
__________その頃，
大海に取り残されたように浮かぶ巨大客船にて、一人の男が時計を確認した。
「時間だ。島国の田舎マフィアめ。約束の時間も守れないとは，とんだ“はんちく”だな！」
本来なら此処で取引が行われる筈だった。
取引の相手はポートマフィア。
懸賞金と引き換えに，ある物を手に入れる予定だった。
男は小型の通信機に話しかける。
「聞こえたか？懸賞金作戦は失敗。どうしたものだか」
男の言葉に，一人の女が優雅に紅茶を飲みながら答えた。
「どうぞお好きに。
わたくし達が
《時計塔の従騎士》近衛騎士長
デイム・アガサ・クリスティー爵
_____能力名『そして誰もいなくなった』
続いて，別の男が爪を噛みながら答える。
「全て僕の予想の通りです。いずれにしても、ぼくたちは勝手にやらせてもらいますよ。
神と悪霊の
地下組織《死の家の鼠》頭目
フョードル・ドストエフスキー_____能力名『罪と罰』
「しかし……本当に存在していたとは」
男の口角が不気味に上がる。
噛んだ爪に紅い血が滲んだ。
「ご機嫌よう」
「………ではまた」
二人はそう言い残して通信を切った。
突然切られた通信に男は呆れるように笑う。
「ち………協調性のない貧乏人どもめ。まあいい」
男は赤ワインが入ったグラスを優雅に掲げた。
「二番手が
彼こそ敦に懸賞金をかけた張本人であった。
男の名は_________
「『約定の地』は我ら《組合》が必ず頂く」
能力者集団《組合》団長
フランシス・スコット・キー・フィッツジェラルド
能力名『華麗なるフィッツジェラルド』
＊＊＊
同時刻，マフィアビルの屋上にて白い襟巻きが風に靡いた。
其処に立っていたのは、あの白い襟巻きの青年だった。
「………動き出したか」
今までの事を予測していたように青年は目を細める。
襟巻きから覗く真紅の瞳は憂いを帯びていた。
「………俺は，本来傍観者だ。何もしないし，何にも肩入れしない」
言葉を紡ぎながら青年は屋上の縁に立った。
爪先が既に空中にはみ出していた。
「俺も見届けよう。命尽きるまで，この街行く末と，彼奴の終焉を」
直後，強い風が吹いた。しかし既に青年は其処にいなかった。
その言葉が誰に向けて放たれたのか。
それは神のみぞ知る。
第78話「たえまなく過去へ押し戻されながら」→←第76話「その組織と波乱の予感」
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星木雪野(プロフ) - さくさくサックさん» コメントありがとうございます！乱歩さんですか………組合編の辺りに出せたら良いなと考えております！期待に添えられるよう頑張りますのでよろしくお願いします！ (2019年9月15日 21時) (
レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
さくさくサック(プロフ) - あ、主人公ちゃん乱歩さんの血を吸ってほしい…乱歩さんの＿＿ぐへへ〜!!!!(＾p＾三＾p＾) (2019年9月15日 13時) (レス) id: f14b80ed49 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます！関西弁になる所は個人的にとても気に入っています！これからもよろしくお願いします！ (2019年8月14日 21時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - これからも頑張ってください、応援してます！！ (2019年8月14日 19時) (レス) id: b1b20001d0 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - 初めまして…！文スト好きで、良く小説を漁っているんですがはっきり言ってこの小説めっちゃすこです。特に夢主ちゃんの関西弁がすっっっごく可愛くて！！！個人的に関西弁好きなんですが、いつもは敬語なのに時折見せる関西弁が性癖にぶっ刺さりました…。 (2019年8月14日 19時) (レス) id: b1b20001d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星木雪野 x他1人 | 作成日時：2019年8月3日 1時
