第24話「帽子屋は紅の娘が気になる」 ページ26
「生身の女に真っ向から撃つンじゃねぇよ」
少女を引き寄せた中也が静かな怒りを込めながら云った。
彼の蒼い瞳が獣のように鋭くなった。
「………あ、あの」
「おい、このまま逃げるぞ」
「えっ」
戸惑う彼女の腕を引っ張って走り出す。
触れた少女の腕は氷のように冷たく，折れてしまうのでは無いかと思う程に華奢だった。
「………手前、細すぎねぇか？」
「失礼やなあ。私どちらかといえば食べる方ですよ」
彼女は不機嫌そうに肩を竦めた。
だがよく見ると彼女の瞳は紅ではなく桜色になっている………ような気がした。
「なぁ、手前って体術か何かやってたのか？」
「？いえ」
「じゃあ何であんな身体能力高いんだよ。
普通、銃で武装している奴に生身で向かって行かねえよ」
「いや、昔チンピラボコったり高いとこから飛び降りたりしたら身に付いただけで」
「何処ぞの悪餓鬼かよ！」
一瞬冗談かと思ったが彼女は真顔だったので本当の事だと判った。
無謀すぎる行動に思わず盛大な溜息を吐く。
『それはそれで才能かもな』
ポートマフィアの体術遣いとも呼ばれる彼から見ても彼女の技は素晴らしかった。
動くたびになびく赤髪やしなやかな身体。
まるで踊っているかのように美しかった。
所謂“天才肌”という奴なのかもしれない。
「まぁ…もう二度とこんな事すんなよ」
如何考えても無謀すぎる。
思わず二度目の盛大な溜息が出た。
ハラハラした此方の気も知らず、少女はクスリと笑った。
「心配してくれるんですね、会ったばかりの女に」
「そりゃ一応手前には助けられたからな……」
「助けた覚えはありませんが」
「結果的に助かったから良いんだよ」
入り組んだ路地を抜け，大通りに出た。
眼前には公園があり，まばらに人が居た。
少女のきょとんとした目で見つめられながら、中也はバツが悪そうに云った。
「……ありがとな」
すると彼女はますます目を丸くした。
そして口元を手で覆いながら嬉しそうに微笑む。
「どういたしまして」
年相応に笑う彼女に思わず目を逸らす。
「ッ……」
目を逸らした彼の頬は仄かに色付いていた。
＊＊＊
な、何かいきなり8000hit超えてたんですけど………
本当にありがとうございます！！
何度も言いますがテスト前で更新が遅れます。
ご了承下さい。
☆星木雪野☆
第25話「吸血鬼は揶揄い癖があるらしい」→←第23話「舞い降りた紅の花」
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星木雪野(プロフ) - ありがとうございます！気に入って貰えて嬉しいです！これからもよろしくお願いします！ (2019年7月31日 21時) (
レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
赤砂晋助(プロフ) - この話好きやけんこれからも頑張ってください！ (2019年7月22日 9時) (レス) id: 5ddd851753 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - 三輪さん» 実はそうなんです！バリバリの関西弁ではないのですが、気に入って貰えて何よりです！これからもよろしくお願いします！ (2019年6月24日 15時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
三輪 - 吸血鬼ネタ最高です……!蓮華ちゃんが可愛い。。それとつかぬ事をお伺いしますが、作者さまは関西圏出身なのですか？方言が刺さります！ (2019年6月24日 15時) (レス) id: e6d66e6ea7 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - ありがとうございます！！私も吸血鬼ネタが大好きで作りました！これからもよろしくお願いします！ (2019年6月2日 23時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星木雪野 x他1人 | 作成日時：2019年6月2日 17時
