第14話「吸血鬼、ボロを出す」 ページ16
「…ん…」
目を開けるとそこには見知らぬ天井があった。
窓から差し込む朝日が目に染みる。
「あ………そうか。夢じゃ無かったんや……」
その事に少なからずホッとする。
光に目が慣れてくると不意に酷い喉の渇きに襲われた。
『此処は………何処なんやろ』
蓮華は辺りを見ようと顔を横に向けた。
「？！」
驚き過ぎて声にならかった。
横には眠っている太宰がいたのだ。
『何でこの人と一緒の布団で………』
彼が此処で寝ているという事は此処は彼の住居なのだろうか。
何となく状況を把握した蓮華は深い溜息を吐いた。
『起き上がりたいんやけどなあ」
昨日から一滴の血も飲んでいない彼女は深刻な貧血状態だった。
はっきり云って血が飲みたい。
『やっぱ、綺麗な顔してる』
寝ている顔を見つめながらふと思った。
『髪もふわふわしてるし、何より…』
__________良い匂いがする。
ゴクリと喉を鳴らし，熱っぽい溜息が漏れる。
誰よりも色濃く漂う血の匂い。
蓮華は彼の首元に頬を擦り付け，深呼吸する。
「…やば……」
彼女の瞳が紅く染まる。
喰らう事以外何も考えられなくなる。
その瞳は狙いを定めた獣のようだった。
__________嗚呼、何て良い香り
「少しくらい………良いやんな………」
そう呟くと血に飢えた吸血鬼は鋭い牙を覗かせ、噛み付こうとした。
「夜這いにしては明るすぎるんじゃない？」
その言葉に蓮華の動きがぴたっと止まった。
一気に青ざめた表情になった蓮華はゆっくり顔を上げると，いつのまにか起きていた太宰が満面の笑みで此方を見ていた。
「きゃあああああ！！？」
「ぐふぅ！」
羞恥と焦りで思わず太宰の腹に一発拳を入れた。
痛みに呻いている間に蓮華は布団から抜け出して距離を取る。
「痛たたた……久しぶりにこんな痛いよ…」
「あ、貴方，いつから起きて………」
「うーん，君が起きて私の事を見つめ始めてから」
「最初からやん！」
蓮華が羞恥で顔を覆いながら叫び声を上げる。
人の寝顔をじろじろ見て挙句の果てに血を吸おうとしたのだ。
完全に変質者の所業である。
「さてと、朝から随分大胆な事をしてくれたじゃないか」
回復した太宰がゆっくり蓮華に近づく。
後退りするもすぐに壁側に追い詰められ、顔の横に手を付けられた。
「……此処からは、大人の時間だね」
美しい笑みに，逃げられないと悟った。
悟って，しまったのだ。
第15話「甘くて、魅惑な」→←第13話「彼女が追い求めたもの」
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星木雪野(プロフ) - ありがとうございます！気に入って貰えて嬉しいです！これからもよろしくお願いします！ (2019年7月31日 21時) (
レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
赤砂晋助(プロフ) - この話好きやけんこれからも頑張ってください！ (2019年7月22日 9時) (レス) id: 5ddd851753 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - 三輪さん» 実はそうなんです！バリバリの関西弁ではないのですが、気に入って貰えて何よりです！これからもよろしくお願いします！ (2019年6月24日 15時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
三輪 - 吸血鬼ネタ最高です……!蓮華ちゃんが可愛い。。それとつかぬ事をお伺いしますが、作者さまは関西圏出身なのですか？方言が刺さります！ (2019年6月24日 15時) (レス) id: e6d66e6ea7 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - ありがとうございます！！私も吸血鬼ネタが大好きで作りました！これからもよろしくお願いします！ (2019年6月2日 23時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星木雪野 x他1人 | 作成日時：2019年6月2日 17時
