No.9 ページ9
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早く気がつけば良かった。
爆弾運びに指定された場所は、死穢八斎會のシマではないか。
そう思って、爆発物とやらが入ったカバンを指定の路地裏に置いた瞬間、上から妙なマスクをつけた男達が降ってきた。
咄嗟に路地の狭い壁を蹴りつけて男達を避け、逃げようと思ったが、既に両サイドから仮面をつけた男達がA目掛けて詰め寄ってきていた。
｢チッ｣
舌打ちを一つ。
パルクールの要領で壁を駆け上がり、屋上で待ち構えていた死穢八斎會の組員が捕縛網やらを投げかけてくるのを、ズボンに仕込んでいたナイフで切り裂いた。
｢こっちだ！｣
｢早く捕まえろ！｣
そんなテンプレみたいながなり声に、Aはイライラする。
舐め腐りやがって。
Aはガキだが、普通のガキではない。
襲いかかってくる組員共をいなし、いなし、時にはのして、とにかくビルの上を走り続けた。
そのうちきっと、騒ぎを聞きつけたヒーローが駆けつけてくるだろう。それまでに身を隠さなければ。
Aは走りながら、必死に隠れられる場所を探した。路地裏のゴミ箱、屋上の給水タンク、今は使われていない下水道。
｢何やっとんねんゴラァ！｣
地元のヒーローが駆けつけてきた。
組員達が散り散りになる中、Aは尚も必死にひた走る。
輝かしい正義の目が、こちらを見つめた気がした。
あそこだ！、と目当ての場所を見つけて、そこに飛び込んだ。
音も立てずにそこに入り、息を潜めて周りから気配がなくなるのを待つ。
恐らく、二時間は騒ぎが続くだろう。
暫くはここで大人しくして、警察やらヒーローやらが退いたら、早い所大阪を経とう。新幹線だと足がつきそうだし、夜行バスで帰るしかない。
明日にでもいつものバーに行こう。
今日の不始末を、義爛に謝らなければ。
色んな事が矢継ぎ早に頭をよぎる。
今の自分は、さぞかし惨めに見える事だろう。
失敗した、と舌打ちしたくなるのを抑え、Aは無理やり目を閉じた。
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リサ(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしてます！ (2021年12月7日 20時) (
レス) @page14 id: 942b3344d9 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 面白いです！続き待ってます！！ (2021年12月7日 11時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - 文が多いのにスラスラ読めて楽しい小説ですね、ここ(占ツク)に少ない雰囲気の作品なので、ちょっとラッキーな気分です(笑)！こういうの、私は好みですよ。 (2021年12月7日 9時) (レス) @page4 id: 730c5fdade (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリンギ(サブ垢) | 作成日時：2021年12月6日 18時
