No.50 ページ50
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｢噂で聞きましたけど、エリ様って偉い人なんですよね。私なんかに任せて大丈夫なんですか？｣
流石に働き始めて二週間もしないうちに組織の中枢に入り込めるとは思えず、入中をちらりと見下ろした。
何かの罠なのだとしたら、早々に逃げ出さなければまずい。
ただでさえ、死穢八斎會には一度騙されて捕まりかけたのだから。
入中はAが密かに逃げる算段を付け始めたとは知らずに頷いた。
｢死穢八斎會にはお前のようなガキはいないからな。エリ様はまだ六歳だ。屈強な男どもに囲まれていては、心も落ち着かんだろう｣
つい先日、エリ様が逃げ出したという噂が下級構成員の間に広まっていたが、それは本当だったのか。Aはなるほどと頷いた。要するに、エリが怖がらない見た目かつ逃げ出さない様に見張れる人間が、Aだったという事だ。
｢具体的な仕事内容は？｣
｢この部屋で壊理様と生活する。以上だ｣
｢エリ様と？｣
｢ああ。お前が外部に情報を漏らさないとは限らないからな｣
本部長にまでのし上がったのだから、慎重な男だろうとは思っていたが、やはりそう来たか。
ここが明らかに死穢八斎會の中枢である事には変わりないので、依頼の遂行がスムーズに進みそうだ。
Aは分かりましたと殊勝に頷いた。
｢後は任せたぞ。妙な真似をしたら殺すから、心してかかれ｣
子供の世話に心してかかれという奴は初めてである。
そのまま部屋を出ていった(扉を開けるのに随分苦労していたが)入中を深くお辞儀して見届ける。
エリは、部屋の隅から怯えた目でこちらを伺っていた。
無理もない。いきなり現れた女と二人きりにされたのだ。怖がるに決まっている。Aは膝を抱えるエリの、包帯に覆われた両腕をじっと見つめた。
こういう時、どうすればいいんだろう。
少し考えて、テレビに映っていた雄英高校の生徒を思い出した。
幼い子供と話す時、彼らは決まって、膝を着いていた。
Aはエリがうずくまっている所から、1m程手前にしゃがみ込んで、その宝石のように真っ赤な瞳を見つめた。
愛想のいい笑顔は作れない。ならば、とAは手を差し伸べた。
｢Aです。宜しくね、
エリはおずおずとAを見て、それから手を見た。
ゆっくりと小さな手が伸ばされる。
少し触れたその手は本当に小さくて、Aは動揺した。
｢Aさん｣
エリの小さな声に、Aはしっかりと頷いた。
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リサ(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしてます！ (2021年12月7日 20時) (
レス) @page14 id: 942b3344d9 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 面白いです！続き待ってます！！ (2021年12月7日 11時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - 文が多いのにスラスラ読めて楽しい小説ですね、ここ(占ツク)に少ない雰囲気の作品なので、ちょっとラッキーな気分です(笑)！こういうの、私は好みですよ。 (2021年12月7日 9時) (レス) @page4 id: 730c5fdade (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリンギ(サブ垢) | 作成日時：2021年12月6日 18時
