No.44 ページ44
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｢辛い現場から戻ってきたばかりで申し訳ないんだけど、記憶が確かなうちに事情を聞いておきたいんだ｣
目の前の刑事は、青褪めた上鳴を宥めるように優しい笑みを浮かべた。
上鳴が応援を呼んで戻ってきた時には、現場は凄惨を極、生臭い臭いが辺りに充満していた。
タカもテンライも、血の海に倒れ伏し、ピクリとも動かない。
あの少女に、俺がタカを殺させたんだ。
上鳴は発狂しそうになる心を必死に繋ぎ止め、他のヒーロー達と協力してタカとテンライを病院に搬送した。
それからの事はあまり覚えていない。
慌ただしい現場。飛び交う怒号。上鳴は、初めてインターンに来た一年生にしては、上手く動けていたのではないだろうか。事務所のサイドキックに頭を撫でられた気がするが、呆然としていて反応ができなかった。
｢･･････あの、タカとテンライは｣
｢君の迅速な対応のお陰で、テンライは生きてるよ。意識不明の重体だから予断は許されないけどね。ただ･･････タカの方はもう亡くなっていた。原因は詳しく調べないと分からないけど、恐らく即死だ｣
あの少女だ。上鳴は確信した。
タカの一撃を難なく受け止めて見せたあの少女なら、きっとタカを殺す事くらい造作ない。
自分があの場に残っていたら、タカは殺されずに済んだのだろうか。
静かに項垂れる上鳴に、刑事はそっと声をかけた。
｢後一分｣
｢･･････？｣
｢あと一分遅れていれば、テンライは助からなかったそうだ。救急隊員が君に礼を伝えてくれと言っていたよ。君は正しい事をした。君を助けてくれたっていう女の子の為にも、今は正確な情報が欲しい｣
刑事の言葉は、今に瓦解しそうな上鳴の心を少しだけ落ち着かせてくれた。
タカは死んだ。それはもう、幾ら悔やんでもどうしようもない。
だから、自分に出来る事をする。
あの少女にもう一度会って、お礼を言う為にも。
｢午前十時から、俺とテンライは〇〇通りをパトロールしてました｣
今度は、絶対に取りこぼさないように。
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リサ(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしてます！ (2021年12月7日 20時) (
レス) @page14 id: 942b3344d9 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 面白いです！続き待ってます！！ (2021年12月7日 11時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - 文が多いのにスラスラ読めて楽しい小説ですね、ここ(占ツク)に少ない雰囲気の作品なので、ちょっとラッキーな気分です(笑)！こういうの、私は好みですよ。 (2021年12月7日 9時) (レス) @page4 id: 730c5fdade (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリンギ(サブ垢) | 作成日時：2021年12月6日 18時
