No.43 ページ43
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ようやくターゲットを見つけたかと思うと、路地裏は既に血の海と化し、ヒーローコスチュームを纏った男が倒れていた。
ニィッと笑うタカの視線の先には、金髪に黒く走るメッシュの髪を持つ男の子がいる。
嘘だろ、と自分の運の悪さに両手を上げて嘆きたくなった。
｢お前は将来ヒーローになる男か？｣
その言葉が、保須市の事件を思い出させる。
この男はステインの信奉者らしい。既に五人ものヒーローを手に掛けている。しかも、ステインの怒りに怒って正義を貫行していた様子とは一転して、理性的な冷徹さも孕んでいた。
『会った事ないから分かんねえかもしれないけど、恐らく何をしでかすか分からないって面ではステインよりもタカに軍杯が上がる』
なるほどな、とヒーロー志望らしき少年とタカの言葉少なな会話を聞いて納得した。
一般人には手を出さない。Aの流儀だ。
仕事をしている間にこれを破るものは、例えそれが暗殺対象であっても許容したくない。
今ここで男の子が殺されていく様を見逃せば、きっとAは理性も知性も打ち捨てた本物のバケモノに成り下がってしまう。
最近イレギュラーが続きすぎている。
Aは二人の死角にあるビルの踊り場から身を躍らせた。
｢逃げろヒーロー｣
男の子が消えていった先を忌々しく見つめて、タカはため息を吐いた。
｢逃がしちまったじゃねえか。何なんだテメエ｣
隙のない構えをしながらも手を出してこないあたり、ヒーロー殺し以外には興味がないのかもしれない。
それとも、Aの実力を推し量っているのか。
｢私は、私の流儀を貫く｣
｢は？｣
｢一般人には手を出さない。つまり、仕事の間に一般人を巻き込まない、殺させないって事だ｣
｢おい、何を、･･････一般人に手を出さないだと？｣
聞き覚えがあったのか、タカがヴィラン名が体を表す様に、鷹の様な鋭く丸い目をゆっくりと見開いた。
｢まさかテメエ、｣
｢悪いけど、これも仕事だから｣
｢────お前が“死神”かァ！！｣
タカが叫び歪んだ笑みを浮かべると同時に、地面を蹴った。
持っていたナイフで喉を狙うと、タカもナイフで防ぐ。
だが、ナイフはブラフだ。
『スターヴァン』
研ぎ澄まされた灼熱の風が、タカの喉元を撫ぜた。
恐らく、痛みを感じる暇もなかっただろう。
タカは目を見開いたまま、膝から崩れ落ち、地面に倒れた。
｢依頼完了｣
動かなくなるのを確認して、その場を後にした。
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リサ(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしてます！ (2021年12月7日 20時) (
レス) @page14 id: 942b3344d9 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 面白いです！続き待ってます！！ (2021年12月7日 11時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - 文が多いのにスラスラ読めて楽しい小説ですね、ここ(占ツク)に少ない雰囲気の作品なので、ちょっとラッキーな気分です(笑)！こういうの、私は好みですよ。 (2021年12月7日 9時) (レス) @page4 id: 730c5fdade (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリンギ(サブ垢) | 作成日時：2021年12月6日 18時
