No.13 ページ13
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｢お前、そんな調子じゃいつか捕まっちまうぞ｣
｢誰に｣
｢サツでも、ヴィランでも｣
モテモテだね、とどこか他人事の様に返された。
｢警察に捕まっちゃえば、一生刑務所から出てこれないんだろうなあ｣
｢そんな軽々しいもんじゃないだろ。お前さんの個性ならタルタロス行きは確実だ｣
｢ステインと同じ礼遇っぷりじゃん。私も出世したね｣
言葉とは裏腹に、どこか胸を突く様な空虚さが、Aの声音から感じられた。
Aの元に、マスターがそっとオレンジジュースを出した。
ヴィラン向きじゃない。だからこそ、この少女には覚悟がある。自分のしている事の罪の重さを理解している。己の業を抱えて生きていけるだけの強さがある。
この上なくヴィランに向いていた。
｢いつまで続けるつもりだ、この仕事｣
カラン、と氷がグラスにぶつかり心地のいい音がした。
そうだなあ、とカクテル用の首が太くて短いグラスを両手で持って、Aは首を傾げた。
元々、このバーにオレンジジュースなんてなかった。
｢父親の借金が返しきれたら、かな｣
｢その後は？｣
思わず、平生なら絶対に聞かない事を言ってしまった。
Aの困惑した気配を感じながら義爛自身も動揺する。
｢･･････いやまあ、それは足洗う時まで生き延びてたら、考える、かな･･････｣
｢･･････いや、すまん｣
｢別にいいよ｣
平生ならしない質問。
それもまた、彼女がお天道様の元で歩く姿が目に浮かんだからかもしれない。
年を取るとダメだな、と義爛は眼鏡を額にかけて眉間をぐりぐり親指と人差し指で揉んだ。
思ったより痛かった。
｢その仕草、めちゃくちゃオジサンっぽいよ｣
｢言っとけ｣
｢あ｣
｢何だ｣
｢そういえばさ、報酬振り込まれてた？｣
間接的とはいえ、私の事襲ってきたクソ野郎共だけど、とA。
今回の爆弾運びの依頼の件は、既に確認済みだ。
｢口座にきっちり指定額分振り込まれてたよ｣
｢そりゃあ良かった。“無銭飲食”なんてされたらたまったもんじゃないからさ｣
頭痛いなあ、とAはオジサンの仕草をした。
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リサ(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしてます！ (2021年12月7日 20時) (
レス) @page14 id: 942b3344d9 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 面白いです！続き待ってます！！ (2021年12月7日 11時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - 文が多いのにスラスラ読めて楽しい小説ですね、ここ(占ツク)に少ない雰囲気の作品なので、ちょっとラッキーな気分です(笑)！こういうの、私は好みですよ。 (2021年12月7日 9時) (レス) @page4 id: 730c5fdade (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリンギ(サブ垢) | 作成日時：2021年12月6日 18時
