No.25 ページ25
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藍瀬が声をあげたのを皮切りに、ビルの右手から突然、忍者のような男が飛び出して捕縛布の様な腕でAを捕まえようと伸ばしてきた。これは生身の腕だ。咄嗟の勘で、力の限り飛びずさる。そいつから逃れられたと思えば、今度は藍瀬の重いストレートが顔面に迫っていて、首を横にずらしながら、身体を捩じ切るようにして踵を返した。
敵に手の内を晒すのは嫌だが、仕方がない。
Aは個性を発動しようとした。
が。
｢発動しない･･････！？｣
バッと上を見上げると、屋上から見下ろしている何かが、ジッとAを見下ろしていた。先程まではいなかったのに、Aが藍瀬に手間取っている隙をついて待ち伏せていたのだ。
たかだか十五の小娘相手に、いい大人が揃いも揃って何なんだ。
胃の底が詰まって上手く呼吸のできない恐怖を、理不尽な怒りで無理やり押さえつける。
藍瀬はプロの暗殺者。忍者のような男は恐らくヒーローだ。どの経緯を経て手を組んだのかはさておき、まだいるであろうヒーロー達を相手にどう逃げ切れば良いのか。
考えてみたが、まあ思いつく訳がない。
Aは、自分の中で漠然と守っている事がある。生きている間に痛い思いはなるべくさせない。自分の人生で、されて嬉しくなかった事だから。
四の五の言ってられないから、破るしかないのだが。
Aはコンクリートの地面に落ちていた石を拾い、忍者男に投げつけた。忍者男は慌てずその布のようにヒラヒラとした腕で叩き落としたが、その一瞬、頭部がガラ空きになった。刹那の事だったが見逃さず、耳の後ろにある急所に回し蹴りを叩き込む。コスチュームの鉄製耳当てすら通過した重い打撃に忍者男は白目を向き、体をぶるりと痙攣させて、後ろに倒れた。
｢おいおい、嘘だろ｣
藍瀬の額に脂汗が浮かんだ。
Aはパーカーのポケットからポケットピストルを二丁出し、一つは藍瀬に、もう一つはビルから見下ろしているゴーグルをつけた男に向けて撃った。三発のうち一つは藍瀬の肩に被弾した。藍瀬の顔が僅かに痛みで歪む。屋上の人影が、Aが銃を取り出したと分かって乗り出していた身をスッと引いたのを見て、Aは再び個性を発動し、路地の間を凄まじい速度で走り抜けた。
さっさとずらかって、撒いてから飛んで帰ろう。
しかし、Aの思惑とは裏腹に、路地の間を抜けた先には豪炎を纏った男が待っていた。
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リサ(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしてます！ (2021年12月7日 20時) (
レス) @page14 id: 942b3344d9 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 面白いです！続き待ってます！！ (2021年12月7日 11時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - 文が多いのにスラスラ読めて楽しい小説ですね、ここ(占ツク)に少ない雰囲気の作品なので、ちょっとラッキーな気分です(笑)！こういうの、私は好みですよ。 (2021年12月7日 9時) (レス) @page4 id: 730c5fdade (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリンギ(サブ垢) | 作成日時：2021年12月6日 18時
