No.19 ページ19
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｢何者だ、お前｣
少しの沈黙の後、低く唸るような声で警戒を顕にした死柄木に、Aは押し殺した声で返した。
｢あんたのお守りは『一般人には手を出さない』って約束してくれたよ。今更ここで破られても困る｣
｢約束だって･･････？何の話だ｣
｢それも分からないようなら、さっさとその子から手ェ離しな。うちのブローカーは仁義に熱いけど、それ以上に契約事項にうるさいからね。自分の組織傾けるようなマネしたくないなら、今からでもお家に帰るといい｣
｢･･････チッ｣
意味は分からないなりに、Aがヴィラン連合と何かしらの取引をしてここにいる事を嗅ぎとったのだろう、死柄木は舌打ちとは裏腹に、ミドリヤの首にかけていた四本指を下ろした。
Aは静かに安堵して、再びスマホに視線を落とした。
｢俺が緑谷を殺したら、どうするつもりだった？｣
囁くような死柄木の問いに、スマホの画面から顔を離さず答える。
｢義爛は、あんた達との契約を切ってただろうね。そもそも、──────あんたはここに来てからずっと、私の間合いだよ。増してやこの近距離なら、一秒と待たずに首と胴体がおサラバするだろうさ｣
淡々と事実を述べて、立ち上がった。
警察の巡回もないし、死柄木も大人しく帰るだろう。
ここに来た目的は結局分からないままだったが、依頼さえきっちりやり通せば後はどうでもいい。
｢義爛だと･･････？いや待て。お前、俺を殺せんのか｣
｢さあね｣
｢いや、殺せるんだろ。そうか、俺のお守りってのは黒霧だな？あいつが勝手に依頼を持ち込んだ。俺を殺せるような奴に。ああ、分かったぞ、絶対そうだ、間違いない｣
唐突にぶわあ、と立ち込める殺気にも似た好奇心に、立ち去ってしまおうと一歩踏み出した足が止まる。
今のこいつは、あんまり強くない。多分、簡単に縊り殺してしまえる。
でも、Aとは決定的に何かが違う。
｢お前、“死神”だな･･････！｣
死柄木弔ね。Aは蝋人形のように温度の無い瞳を細めた。勿体なくて割きたくなかった脳の容量を、少しだけ使ってもいいかもしれない。
将来大物ヴィランになりそうな男のご尊顔を拝見しよう。Aは首だけを回して、男の顔を覗いた。
掻きすぎて傷跡が皺のようになった目元、ボサボサの白い髪。
気味が悪い。
｢帰る時は警察に気を付けてね、死柄木弔｣
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リサ(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしてます！ (2021年12月7日 20時) (
レス) @page14 id: 942b3344d9 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 面白いです！続き待ってます！！ (2021年12月7日 11時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - 文が多いのにスラスラ読めて楽しい小説ですね、ここ(占ツク)に少ない雰囲気の作品なので、ちょっとラッキーな気分です(笑)！こういうの、私は好みですよ。 (2021年12月7日 9時) (レス) @page4 id: 730c5fdade (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリンギ(サブ垢) | 作成日時：2021年12月6日 18時
