No.11 ページ11
・
｢ヴィラン殺しの重要指名手配犯が十五の小娘？信じ難いな｣
｢ええ、ホント。信じ難い世の中です｣
イレイザーの言葉に頷いたホークスは、資料をビン！と指で弾いた。
｢しかしそうなってくると扱いが変わりますねえ｣
｢十五歳なら、刑事責任は問えても死刑にはできませんから｣
薄暗い室内の視線が、一気にこの会議の主催者たる人間に集まる。
治安維持に絶大な貢献を果たし、公安内でも一目置かれる特捜班の班長は、そうなんです、と頷いた。
すかさずイレイザーヘッドが口を挟む。
｢わざわざここまでヒーローを掻き集めたんだ。“死神”の取り扱いについて、決定的な条項が追加されたんだろう｣
｢ええ、ええ。イレイザーヘッドの言う通りです。我々公安はファットガムの報告を受けて、“死神”を見つけ次第生死を問わず捕らえる方針から、何としてでも保護する方針に転換しました｣
｢保護ォ？｣
呆れた声の主は、ホークスだ。
｢最大瞬間速度が音速も超えるクレイジーヴィランを、どうやって生け捕りにしろって？｣
｢不可能を可能にする。それがヒーローの本質では｣
｢無茶苦茶だ｣
イレイザーも呆れた顔で呟いた。
班長は眉を上げて肩を竦めてみせると、手元のリモコンでモニターの画面をパッと変えた。
｢勿論、成功率が極めて低い事は理解してます。今の状態では、まあまず見つける事も不可能でしょうね。しかし相手は子供です。殺せません｣
｢それだけじゃないだろう。超法規的措置を取れば何とでもなる｣
“死神”は危険だ。
多くのヴィラン組織が、彼女を手に入れようと手をこまねいている。しかも、まだ十五歳。捕らえられてしまったら、まだまだ未成熟な彼女の心身にどんな悪影響を及ぼすか分からない。
一般市民やヒーローに敵意がないから良かったものの、洗脳でもされてしまえば、いずれ甚大な被害をもたらす事は間違いない。
｢当初はその予定でした。ですが、たとえ身元も個性も不明であったとしても彼女は間違いなくトップヒーロー級の戦力です。我々は、そんな超一級の逸材を殺していては、社会にとって不利益であると判断しました｣
｢･･････おい、まさか｣
｢ええ。
公安が保護した暁には、“死神”にはヒーローになっていただきます｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 241人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リサ(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしてます！ (2021年12月7日 20時) (
レス) @page14 id: 942b3344d9 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 面白いです！続き待ってます！！ (2021年12月7日 11時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - 文が多いのにスラスラ読めて楽しい小説ですね、ここ(占ツク)に少ない雰囲気の作品なので、ちょっとラッキーな気分です(笑)！こういうの、私は好みですよ。 (2021年12月7日 9時) (レス) @page4 id: 730c5fdade (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：エリンギ(サブ垢) | 作成日時：2021年12月6日 18時
