短編集 (ページ48)

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ソフィア様は、どうやら美しいものを好むようでした。

しかしそれは外見ではなく、世間一般で言う純粋無垢な娘や青年のことらしく、ただ美しいだけではだめだということがここ最近でわかったのです。

理由は分かりません。

ただ、私がそれぞれ知ったところでどうにもならないので、今までとすることは変わりません。
私にできることなど、たかが知れていますからね。

私は迫害を受けていたため、まともな勉強はあまり受けたことがありません。ここに来て初めて学んだことは優秀なメイドになるための授業ですから、世間一般の常識についてはステラ達のほうが詳しいと言えるでしょう。

私が知らないような常識があるのかよくわからないのですが、きっとソフィア様は何か意図があってこのようなことをしているのでしょう。

私の仕事は、主に仕え、全身全霊で尽くすのみ。
先輩方からそう教わったのですから。

ソフィア様が望むのなら、私は何にだってなります。何にだって、なれるのです。

ソフィア様は、富も権力も持ち、その美貌が世に広まれば縁談が山のように持ちかかり、傾国の花として持て囃されるでしょう。

だからこそ、私はソフィア様の無欲さに疑問を抱いているのです。
彼女にとって、手に入らない物などほぼ無いに等しいのですから。

私が仕えるあの人、いや、あの人形は、一体何を欲して何を求めているのか。

私は、そんな疑問を晴らすために、今日もソフィア様にお仕えするのです。