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食堂から出ようとしたその時だ、
「あそこだ、追え……!」
兵隊に見つかった
シャイロックに肩を貸しているヒースクリフは振り返った
彼の手には懐中時計があった
「゙レプセヴァイヴルプ・スノズ」
ヒースクリフの呪文だ
すると、ギギギと軋みをたてながら、食堂のテーブルと椅子が蔦のように絡まった
蔦のように絡まるテーブルと椅子は、バリケードのような役割で晶たちと兵隊たちの間に壁が出来る
「急いで、こちらへ!」
「魔法舎の塔に隠れましょう!」
晶はヒースクリフの後を付いて行った
塔に着くと、中庭が火で焼かれているのが見えた
きっと、兵隊たちの内の何人かが、火矢を打ったのだろう
「そんなに、俺達のことが嫌いなのか」とヒースクリフが絶句すると
「そうではあるまい。怖いのじゃ。」
「恐怖にかられたものは、自分や大切なものを守るために、なんでもしてしまうものなのじゃ。」
スノウとホワイトが言うと納得がいく
二人は魔法舎の中で一番長生きしているからだろうか
一言一言が貫録を感じられる
しかし、納得していないのかヒースクリフが何かを言おうとした瞬間
晶たちが居る塔にも火が放たれた
「すぐに魔法で消します!」
ヒースクリフが、呪文を唱えようとした瞬間、
塔の扉が開き、兵隊たちが現れた
「いたぞ!弓で仕留めろ!」
「早く攻撃しないと、魔法の炎で燃やされる!」
「遠慮するな!魔法使いは不死身だ!」
魔法使いは不老であって不死ではない
どんな生物にも終わりはある。それは人間でも魔法使いでもだ
シャイロックは「そんなわけないでしょう」と反論するが、燃える心臓による強い痛みが襲って来る
晶が慌てて、彼の元に近づくと、「撃て」という声が聞こえた
「賢者様!シャイロック!」
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作者名:菊春 | 作成日時:2022年5月8日 14時