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第4章 魔法使いのいる世界 ページ22

ゴン…ゴン…何度もテミスの額に壁がぶつかる

別に好きでやってないし、ワザとやってるわけではない

どれだけ目を凝らしても、目の前の景色が分からない

ただ分かるとすれば、目の前が真っ暗なだけだ

彼自身、自分が何処に居るのか分からないのだ

その事実に、テミスはむすっとした


「誰ですか…ここに壁置いたのは」


元々そこに壁はある

ぶつかって来たのはテミスの方だ、壁にとんでもない迷惑をかけてやるな

高級そうな壁をべたべた触りながら文句を言っていると


「あれ?テミス?」

「どうしたの?壁を見つめて……。」

「その声は……ヒースクリフですか?」


魔力の気配でヒースクリフが立っている場所に顔を向けると

ヒースクリフは彼の目を細め自分を見るテミスに冷汗をかいた

「何か、怒らせるようなかとしたかな?」頭をひねって考えてみたら、身に覚えのない…

強いて言えば、昨日、小一時間怒られたことはもうヒースクリフの中で終わったのではないのかと思う

気持ちの切り替えが早いテミスが、2時間で終わった話を尾を引いているのではないのかと冷や冷やしていると


「ヒースクリフ」

「あ、は、はいっ!」

「私を食堂まで連れて行ってくれませんか?」

「え、あ…うん?」


怒られる覚悟で、腹をくくったヒースクリフの予想外の言葉に拍子抜けた声が出た


「な、なんで?」

「目が見えないんですよ…。」

「え、それヤバいんじゃ…」

「昨日はちゃんと見えてましたから、突然として失明したわけじゃないと思うんですよ。」


「食堂に行って、双子殿に診てもらう」とヒースクリフに伝え

テミスは手を差し伸べ、ヒースクリフはその手を取り、彼を引っ張りながら食堂へ向かった

【朝のひととき】→←第3章 <大いなる厄災>



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作者名:菊春 | 作成日時:2022年5月8日 14時

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