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「成功じゃ！」
「成功じゃの！」
「流石、賢者様とオズです。」
双子とテミスは嬉しそうに微笑んだ
ヒースクリフはファウストの体に傷が癒えて行くのを見て、驚き、
カインが「名前を呼びかけろ！」と彼らに言う
「ファウスト、ファウスト……！」
「ファウスト、しっかり。」
「起きて、ファウスト！まだ寝る時間じゃないよ！」
カインを筆頭にシャイロック、ムルたちが彼に呼びかける
静かにオズはファウストを見つめる
数秒ほど間をあけて、彼から小さく呻き声が聞こえた
彼は痛みに身じろいし、ファウストは小さく言葉を吐く
「……っ、ひどい……。」
「せっかく、死ねたところを……。」
その呟きを聞いて、どうやら助かったみたいだと晶が息をつくのと同時に、
部屋に歓声が上がった
ファウストの意識が戻ったことに誰もが嬉しそうであった
いつの間にか、オズの手から離れていて、緊張の糸が解けた晶は脱力すると、双子が晶に近づいてきた
「ご苦労じゃった。賢者よ。」
「ファウストが助かったのも そなたのおかげじゃ。」
若々しく、可愛らしい顔とは似つかわしくない老人めいた口調で晶に称賛の言葉を送った
しかし、２人の言葉に晶は力なく首を振った
「俺は何も……。」
「立っていただけです。」
「だけど、助かったようで良かった。」
双子にそう伝えると、ヒースクリフから「そんなことありません」と今、晶が言った言葉を否定する声が聞こえた
涙をかすかににじませながら、真っ直ぐに晶を見つめる
晶が自分達にしてくれたことを思い出す様に言葉を紡ぎ
「ファウスト先生は助かったんです。」
「ありがとう……。心から感謝します。」
感謝を伝えたヒースクリフは控えめに微笑んだ
ぎこちないけれど、あたたかい
晶は彼の感謝の気持ちが伝わって来たのだ
晶自身も釣られて微笑んだ
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作者名：菊春 | 作成日時：2022年5月8日 14時
