検索窓
今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:21,526 hit

第六章《僕と私》第二十八話 ページ2

9歳のAside(過去編)









私は生まれてすぐ捨てられた、らしい









勿論生まれてすぐなので母親の顔も父親の顔も見たことがないし今更何か言うつもりもない









保護施設には私のように何かしらの事情があって保護された子供たち、そして私たちの面倒を見てくれる大人の人達が数人









だんだん喋れるようになってきた4歳ぐらいのとき、静かに本を読んでいる私に話しかけてくれる子はちらほらいた









「いつも本読んでて楽しいの?」

「なんでいつも一人でいるの?」

「どうして何も喋らないの?」









こんな感じの無垢で純粋な同世代くらいの子達からの質問に私は答えなかった









感情の起伏を表すのが苦手だったからだと思う









そんなことを繰り返してるうちに私に話しかけてくる人は誰もいなくなった









話すことがほとんど無くなって、声の出し方忘れたんじゃないかと感じ出した今日この頃、いつものように本を読んでいると、聞いたことの無い声が聞こえてきた









??「何読んでるの?」








新しく入ってきた子なのかな?とは思いつつもいつものように何も言わなかったらすぐにどっか行くっしょ、って思ってた









けど、その人は違った









??「話しかけてるの聞こえないの?」

『…』

??「もしかして無視してる?だとしたら相当悪質だよー?(笑)」


『…(何笑ってんだこの人)』

??「喋ってくれないなら行っちゃうよー?」

『…』

??「あーはい、わかったわかった、」スタスタ









.









.









.









.








??「わああ!!!!!」

『おわっ?!?!』

??「やーっと声聞けた(笑)。てか、かわいい声じゃん?女の子みたい、」

『…です、』

??「へ?なに?」

『…私、女の子、です』

??「……え?、、えぇぇぇええ?!?!」









.









.









??「いやー、髪短いし服どちらかと言うとメンズよりだし、男の子かと思ったよ、ごめんね」

『いや別に、』

??「君名前なんていうの?あ、私は水瀬音羽(おとは)」

『…A』

音「へえ、A、か、いい名前だね」ヨシヨシ









私はこの時、初めて自分の名前がいい名前だと言われた

・・・→←夢主設定



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (19 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
175人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もーん | 作成日時:2021年1月6日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。