しろくろ【呪術廻戦】 (ページ33)

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その１０ページ33

山本「…面構えが変わった。これからは呪い等に頼らずとも己の闇と向き合っていけよう。

まあ、あまり自分の闇を嫌わん事だ。人間白いトコも黒いトコもあるから面白い。

醜い自分をどうにかしようと藻掻くから真っ白より味のある色が出せるのだからな。

という事で、そろそろ俺はお暇させて……」

そう勝手に話を進めていく山本に、とみ子は思わず「待ちなさいよ！」と彼を引き留める。

「勝手に取り憑いて勝手に説教たれて、今度は勝手に去っていくつもり！？

礼なんか言いたかないけどねェ、アンタがいたから私ッ…！！」

――そうとみ子が言いかけたところで、山本は少し切なげな微笑みを零した。

山本「所詮俺は人にも妖にも混じれぬ外れモノ故、流れるは宿命だ。

貴様等といた間はそれも忘れていたがな。

【…悪くない時間だった。】

達者でな！」

山本は別れを告げると、そのまま白いカラスの姿に戻って羽ばたいていく。

だがとみ子は突然過ぎて処理しきれなかったのか、そのまま彼を追うように駆け出した。

「ちょっ、待ってよ！！

外れモノって何よ、アンタのどこが外れてんのよ！！

妖怪でも人でもないと居場所を持てないって言うの！？冗談じゃないわよ、居場所なんて自分で作るモンでしょ！！

アンタがッ、人だの妖怪だのの枠組みから外れていようとさ、【坂田家】の枠組みの中にはキッチリ入ってる！！それだけは覚えておきなさいよ！！

納豆ごはん用意してるからいつでも食べに来いや、

バカラスゥゥ！！！」

その言葉が、彼に聞こえたかはわからない。

……ただ、彼奴も好き勝手言ってたんだから自分だってこれくらい言ったっていいだろう。

……そうとみ子は、密かに思ったのであった。