その10 ページ21
海人『今日は熊本まで出張だから、またしばらくは……』
?『ただいまァ〜』
――でも、そんな時。
あの人の気だるげな声が玄関に響いた時は、夢なんじゃないかって思ったくらい嬉しかった。
海人『とみ子ッ、母ちゃ…ママだ!!』
五条『おっ、滑り込みセーフかよ!』
夏油『あの人らしいな…よかったね、とみ子ちゃん!』
夏油さん達の笑みを他所に、私は一目散に帰ってきた母の元へ駆け出す。
せつ子『あ〜だるっ』
『母ちゃん!!』
海人『おかえり、ママ!』
せつ子『おぉ元気そうだねとみ子、母ちゃんはもうダルダルさ。
お、アンタ等も来てたのか』
夏油『お邪魔しています、先輩』
せつ子『まったく、その呼び方はやめてくれって言ってるだろ…しょうがない奴等だね』
海人『よくこんなに早く帰ってこれたねママ!』
せつ子『ん、わりと早く片付いてね。それよりアンタ家ではヅラ取れって言ったろ』
相変わらずどこかのらりくらりとした母の喋り方は、私を安心させてくれる。
そしてきっとわざわざ私の為に仕事を早く終わらせてくれたんだと、私は喜んでいた。
…その時は、そんな淡い期待を寄せていたんだ。
『母ちゃん、私との約束覚えててく…』
せつ子『あり?何このケーキ。
……あ、「いつもお仕事ご苦労さま♡」みたいなカンジ?いやぁ、ありがと』
海人/とみ子『『あ゛っ!!』』
――そう言って、母はケーキの部分を鷲掴みして一口食べた。
せつ子『疲れてる時はやっぱ甘いモンだわ〜、でもやっぱちょっと寝かせて。ケーキ冷蔵庫に入れといてよ。
食ったらブッ殺すから』
そんな身勝手な母の行動を見て横でゲラゲラ笑ってた五条さんと噴き出しそうになっていた夏油さんを他所に、私と父は呆然とした。
―――母は、そのまま起きてくる事はなかった。
……過労死だった。
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作者名:勇者の人 | 作成日時:2021年2月27日 10時