23-36 汚い人間 ページ38
■ RiKu ■
ｼｳ兄は俺からの返答を待たずに再び窓の外を見上げた。
言わなくても分かっているんだろう。俺が絶望を見たことがないって事。
そりゃそうだ。
そんな…心が壊れてしまう様な絶望を味わった事がある人間なんてそうはいないはずだ。
俺はすっかり声の掛け方も分からなくなって、ただ隣に座っているだけになった。
でも何か声を掛けてあげないといけない気がして、頭の中では必死で言葉を探している。
空をじっと見上げる人の横に黙って座っているのは、ｼｳ兄が二人目だ。
無論、一人目はA。
ﾘｸ「・・Aは…今のこの空もきっと好きだって言う。あいつ空が好きなんだ」
やっぱりAﾈﾀしか思いつかなかった。
するとｼｳ兄はゆっくりとこちらに振り向き、少し口角を上げただけだった。
ﾘｸ「今は夜でも必ず日は昇る…よ？って、Aなら言いそう・・」
いや、あいつならもっと良いこと言うか。
A…俺今困ってんだよ。どうすりゃいい？
ｼｳ「何て顔してんだよ〜。もしかして変に考えさせちゃった？」
ｼｳ兄の口調は妙に明る過ぎて痛々しく感じる。
ﾘｸ「俺が力になれるかは分からないけど、話せるなら話してみてよ」
ｼｳ「・・・皆ﾘｸみたいな人ばかりだったらいいのにな」
俺の知っている人間は自分の身を案じ、都合の悪い事には目を瞑り、都合の悪い音には耳を塞いで知らん顔をする。
例え、それがどんなに大ごとな出来事でも。それがどんなに大切な話でもだ。
汚い人間は人に罪を擦り付けるのが得意で、その為には平然と嘘をつく。
それを否定すれば嘘を言ってるのはお前だと罵られる。
小さな存在は大きなものには勝てない。
嘘は連鎖してまた新しい嘘を生み、そうやって繰り返すと嘘は嘘じゃなくなるんだ。
皆が嘘を信じて真実はあの暗闇に飲み込まれる。
ｼｳ兄はそう言って窓の空を指差し、その後にこう付け加えた。
だけど…そういう人間は罰を受けるべきだ。
…と、咄嗟に声にならない程の恐ろしく憎悪に満ちた顔で。
ｼｳ兄は一体何の話をしているんだろう。
疑問に思えど、これが絶望と関係してるのは相違ないだろう。
ｼｳ「なーんてな。全部嘘。作り話だよ」
こちらに向き直したｼｳ兄はもうﾆｯｺﾘとした爽やかな笑顔だった。
ﾘｸ「俺としては…そんな話をしておきながらｼｳ兄が嘘をつくはずないと思うんだけど」
ｼｳ「・・・俺だって嘘くらいつくさ。俺もまた…汚い人間だから」
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みるく - モジョさま、このお話は初めからすごく興味深いもので、夢中になって読んでます！不思議な場面がたくさんあり夢に飛んでますが、そういうところが大好きです！トムに私も会いたいと思ってしまいます。私自身が感が鋭く不思議な体験が多いので共感が持てます！ (2015年3月15日 11時) (
レス) id: 24618d5a10 (このIDを非表示/違反報告)
ユミ(プロフ) - すごく面白いです、私も、妄想好きですけど、ここまで、妄想で、小説書けるなんて、尊敬します、ゆっくりでいいので、楽しみにしています、 (2014年11月24日 10時) (レス) id: ea1097e441 (このIDを非表示/違反報告)
ﾓｼﾞｮ(プロフ) - ちゃちさん» ＞ちゃちさん☆ え〜！ｷｰﾜｰﾄﾞ見てからまた読み返してくれてるんですか？！何て…有難いです(TT)★嬉しいです！来年から少し仕事に余裕が出そうです！多分(笑) いっぱいお話ししましょうね♪ でもちゃちさんが忙しくなりそうですね…春になったら社会人ですよね？ (2012年12月23日 2時) (レス) id: 7f5f6342c2 (このIDを非表示/違反報告)
ﾓｼﾞｮ(プロフ) - あいさん» ＞あいちゃん☆ 返事が遅くなってごめんね！く、9時間目？！今の高校ってそんな時間までやるもんなんですか？！夜の10時くらいまでってことになるのかな？え〜！それは…ふざけとる(笑)あいちゃん頑張って！ファイティン♪ (2012年12月23日 2時) (レス) id: 7f5f6342c2 (このIDを非表示/違反報告)
ﾓｼﾞｮ(プロフ) - maruさん» ＞maruさん☆ 作者よりも楽しみにしていただけてるなんて…。嬉しいです〜(T□T) これからも自信持って？謎解きｷｰﾜｰﾄﾞ書いていけます！(笑) これからもよろしくお願いします♪ 結末がしょぼくならないようにしなくっちゃ(笑) (2012年12月23日 2時) (レス) id: 7f5f6342c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾓｼﾞｮ
| 作成日時：2012年10月29日 3時
