No.1 ページ1
薄暗い宿舎に響き渡る、荒い足音を立てながら一人の男が近付いてくる。
男は目の前に立ち、見下すような目でこちらを見て持っていた紙束をどさりと私の腕の中に押し付ける。
「1019番！依頼だ、受け取れ。」
そのまま返事も聞かずに立ち去って行った後ろ姿を一瞥し、手の中の書類をぱらぱらと捲る。今回の殺害対象は誰だろうか。
何事もなく楽に終わるといいけど、と呟き部屋で改めてゆっくりと読もうと持っている紙束を抱えなおして歩き出す。
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およそまともとは呼べない自室のベットにぼふりと音を立てて座り込む。
「今回の殺害対象は……我々国の総統？」
読み進めればどうやらグルッペン・ヒューラーというらしい。13人の大変優秀な幹部を持ち、最近大きく成長しだした我々国をまとめ上げている総統様だとか。なんでも我々国が発展しだしたのは総統がグルッペン・ヒューラーに代わってからだというし、よほど優秀なんだろう。
「えぇっと…」
世界諸国の詳しい内部情報について調べ上げられた本の索引から《わ》の文字を探し出し、ぱらりとページを捲る。
“我々国は戦争面では未だ無敗を誇り、総統が変わってから益々強さを増したと恐れられている。街並みは美しく、経済面でもかなりの余裕があると推測できる。今現在では世界最強の軍事国家と謳われるのも納得できる国家だ。”
「世界最強の軍事国家、ねぇ」
本をぱたりと閉じ、これはなかなか大変そうだとため息をつく。作戦予定日は一週間後の月初めの日だ、久しぶりの依頼だから足りないものも何かとあるだろう。買い足すものの確認をしておかないとと考え確認を始める。
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作者名：未完成少女A | 作成日時：2021年9月4日 17時
