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第4章−last− ページ23

弱め弱めに物語っていたが、どんどんと口から言葉が溢れた。
涼介は真剣な顔で話を聞いてくれた。

全て吐き終えた。
すると横から聞き覚えのある声。


「やっぱりそうだったんだ」

「いのちゃん...」

「いのちゃん!大丈夫!?」


彼は壁に背中を預けてゆっくりと瞬きをする。

涼介はいのちゃんの頭から血が出ていたことを今更気づいたのか、大層驚いた顔であたふたとしていた。


「もう血は止まってるよ、でもあんま騒がられると響く...」

「あ、ごめん」

「やっぱりそうだったんだね、知念」

「どうしてわかったの」

「美術館に君の肖像画が飾られてた。題名はあやつり人形」

「......そう......」


そんなのいつの間に絵描かれていたのか、美術館に飾られた時点でもう展示品扱いだ。
そう思うと腹立たしい。
今すぐその絵を見つけてびりびりに破りたい程だ。


「あーのさ...知念の、その、心臓が無いってのは本当に...」

「うん、ないよ」

「ないの!?」


随分あっさりと告げた知念に驚く。
知念は自分の胸を見て心臓部に手を当てた。

その後やっぱり動いてないや、と笑う。

そんな風に言って笑う君を見ると心が痛んだ。目の前にいる知念は生きていない。
心臓が奪われたということは誰かが持っているのだろうか。

するといのちゃんが知念に質問をする。


「この世界は何なの?」

「そうだね。簡単に言うと鏡だよ」

「鏡?」

「うん。現実世界とそこに写る虚像世界。
鏡の外か内なのか...この美術館は鏡の内。
鏡に手を当てても決して虚像世界には行くことができない。
目の前に見えるのに手は出せない世界が僕たちのいるここ(虚像世界)なんだよ」

「う、うん......?」

「山田は頭悪ぃな」

「う、うるせーよ!とりあえず今俺たちがいるここは鏡の中みたいなもんだろ!?」

「まぁ、そうかな」

「ほら見ろ!理解はしてる!」


ふふん、と自慢げに鼻をならせば、知念といのちゃんが顔を見合わせて笑い出した。
何が可笑しいんだと少し睨むと、軽くディスられる。


「そこだけだろ?」

「うるせ!それより知念の心臓は何処にあるんだよ」

「多分、おばさんの部屋。涼介は見たかな…階段がある所」


階段......記憶を巡らせる。
そういえばまだこの美術館(虚像世界)に来たばかりのときにポールが倒れて驚いていた自分を思い出す。

そしてそこにあった下へと続く階段。
あそこかと確信を得る。

俺はいのちゃんに肩を貸し、三人で歩き出した。

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キャティア(プロフ) - どうやったら、漫画などの絵を載せることが出来ますか?教えてください!! (2017年2月23日 20時) (レス) id: 3b338422a0 (このIDを非表示/違反報告)
偽り(プロフ) - 漫画が上手い!! (2017年2月23日 6時) (レス) id: 90395ad59e (このIDを非表示/違反報告)
ポヤサン - 大好きです!!!!! 頑張ってください。 (2017年2月18日 13時) (レス) id: 09d280978a (このIDを非表示/違反報告)
詩歩(プロフ) - この作品いいですね!最後のbat endって綴り、bad end ですよ〜! (2017年1月15日 8時) (レス) id: a41764ba41 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - Hey!Say!JUMP大好きっ子(あやね)さん» どんどん癖になっちゃってください!笑 ありがとうございます!頑張ります! (2017年1月14日 11時) (レス) id: e160cb7ab7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちあき | 作成日時:2017年1月8日 22時

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