第4章−3− ページ21
この美術館が一般開放される前、僕たち家族はおばさんの身内ということで自由に出入りを許可されていた。
美術館に行くというのはおばさんの家に行くついでみたいなもの。
行きたくなくても、毎回おばさんが美術館を見に行きなよと勧めていた。
しかし、何回か通う内に異変が起こり出した。
僕と姉だけでおばさんの家のついでに美術館へ行ったら、いつの間にか姉は僕の隣から姿を消した。
そして次は父。
なんだか母さん(おばさん)が手伝って欲しいことがあるらしいんだ、と言いおばさんの家に行った。
それ以来、連絡も取れなくなった。
お母さんは連絡も取れなくなったからとお父さんの様子を見に行った。
......誰も帰ってこなかった。
そんな独りの僕はおばさんに引き取られた。
おばさんは僕のことを凄く可愛がってくれた。そして口癖のように僕の頭を撫でながら言う事。
「ゆうりは可愛いわね...生きたお人形さんみたい」
その言葉はただの褒め言葉だと思っていた。よく意味がわからなかったから。
そして何度目かの美術館。
その日はおばさんと二人で美術館内を歩いていた。
辿り着いた一つの部屋。
壁一面に彩られていた絵。吸い込まれるかのように足を進めた。
「きれいでしょう？私が一番気に入っている絵なのよ」
「大きな絵だね...」
すると、異様な雰囲気に気づく。
不気味に思いおばさんの方を振り向くと、にこにこと笑っていた。
おばさんの手が僕の頬を優しく撫でる。
「やっとゆうりもお人形さんになれるのよ」
「僕も...？」
「ゆうりは本当にお人形さんみたい。でもまだよ。完璧なお人形さんには心も意識もないの......」
言っている意味が理解できなかった。
でも意識が遠のく。
僕は口を縫われた。お人形さんは喋らないんだよって言われて。
感情を潰された。お人形さんには心がないんだよって言われて。
ーー心臓を奪われた。
お人形さんは生きてないんだよって言われて。
僕はあやつり人形になった。
おばさんに言われて、おばさんのコレクション(展示品)を綺麗にしたり。
この美術館に迷ってきた人を案内して展示品にしたし。
僕はおばさんの中で一番の展示品になった。
ゆうりは偉いねって何回も言われて頭を撫でられた。
でも、それに喜ぶと殴られた。
ーーお人形さんに感情なんてないのよって。
だから僕は喜ばないようにした。
.....お人形だから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 85人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
キャティア(プロフ) - どうやったら、漫画などの絵を載せることが出来ますか？教えてください！！ (2017年2月23日 20時) (
レス) id: 3b338422a0 (このIDを非表示/違反報告)
偽り(プロフ) - 漫画が上手い!! (2017年2月23日 6時) (レス) id: 90395ad59e (このIDを非表示/違反報告)
ポヤサン - 大好きです!!!!! 頑張ってください｡ (2017年2月18日 13時) (レス) id: 09d280978a (このIDを非表示/違反報告)
詩歩(プロフ) - この作品いいですね！最後のbat endって綴り、bad end ですよ〜！ (2017年1月15日 8時) (レス) id: a41764ba41 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - Hey!Say!JUMP大好きっ子(あやね)さん» どんどん癖になっちゃってください！笑 ありがとうございます！頑張ります！ (2017年1月14日 11時) (レス) id: e160cb7ab7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちあき | 作成日時：2017年1月8日 22時
