三話 ページ6
芥川とカフェで会った日から二週間ぐらいの日が過ぎた。
高校生での初めての定期考査が終わりクラスでは、
「やべー!いろんな意味で終わった!」
「この点数マジやばくね?」
とか言ってるクラスメイトたちの声で溢れていた。
私は大体の科目の点数を平均より上で取れていたのでなかなかの出来だと自負している。
もちろん、この考査中も芥川は学校には来なかった。
だがしかし、
(おや)
この日入っていたカフェのバイトで、またしても眼鏡をかけた私服姿で芥川は来店したのであった。
「アイスコーヒーを、持ち帰りで」
「はい、アイスをお一つでお持ち帰りですね」
私はもう慣れたレジ打ちを淡々と終わらせる。
「会計はこちらになりま…」
私がレジから顔を向けたその時、二週間ぶりに見た彼の顔は元より白くはあったが今日はより白い…というか血の気がないように見えた。
「…なんだ」
私が芥川の顔をじっと見ていることを怪訝に思ったらしい。
「いや、えっと…お客様はとても顔が整っていらっしゃるなーと思いまして!」
「……」
流石にここで顔色悪いから家に帰って休んだほうがいい、だなんて客のプライバシーに関わることを言ってしまっては店長のお叱りを受けてしまう。
「えと、お釣りはこちらになります。
出来上がるまで少々お待ち下さい」
私が業務的にそう言うとカウンターを離れてコーヒーが出来るのを待っていた。
ああ、こんなに聞きたい事があるのに聞けないだなんて、なんてもどかしんだろう。
そう考えているうちにコーヒーが出来てしまった。
「お待たせいたしました。
こちらアイスコーヒーになります」
「ありがとうございます」
注文の品を渡した後、私は悶々とした気持ちでその去る姿を見送った。
その時、私には聞こえはしなかったが席に座っていた高校生の客の中である会話があった。
「ねえ、今店出ていった人リュウくんに似てない?」
「似てた似てた!えーもしかしたらホンモノだったりしてー!」
「それはナイでしょ〜。そんな芸能人にぽんぽん会えるわけないじゃん!」
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作者名:ユーリ | 作者ホームページ:設定しないでください
作成日時:2021年6月19日 19時