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夏休みなんて、まるであってないようなものだったと、後期授業始業式のときに思った。
この前先生の言っていた一年で仮免試験を取ることについて。
自室のベッドで横になりながらも、私はそのことばかりを考えていた。
「一年の時点で仮免を取るのは全国でも少数派だ。
つまり、君達より訓練期間の長い者、未知の個性を持ち洗練してきた者が集うワケだ。
試験内容は不明だが、明確な楽興であることは間違いない。意識しすぎるのも良くないが、忘れないようにな」
と、言われて意識しすぎないのは無理な話だよ。
そして、そんな不安を昔っから取っ払ってくれるのが彼だったってことを思い出していた。
「っでも、いけない。いつまでも甘えてばっかなんて…」
そうやって自分の中で決意を固めたとき、思わぬ人物から電話がかかってきた。
花宮「も、もしもし……？」
”「やぁ」”
花宮「やぁ、って何よ…なんか用事あった？」
”「いいや。
ただ、そろそろ不安に押しつぶされてるんじゃないかと思ってね」”
花宮「物間くんって私のこと赤ちゃんかなんかだと思ってる？」
”「まあ、そんなところかな」”
花宮「殴りこみにいったろか？！？！」
”「ようやく元気な君に戻ったな。」”
そうやって優しく言う声に、失礼ながらとっても助けられてしまった。
実際のところ、洋雪くんからそんなようなことを聞かされてどうにも気になってしまったのだという。
”「ほら、明日は試験で朝も早いだろう？
そろそろ眠ったほうがいい。」”
花宮「うん、それは分かってるよ」
”「じゃあ何か分からないことでもあるのか？」”
花宮「まぁ、そんな感じで……あのね、物間くんの声聞いたら会いたくなっちゃったの」
わがままだってことは分かっていた、から彼も電話の向こうでかなり大きめのため息をついていた。
花宮「あっ、でも、いいの。
次会うときは仮免とったあとだもんね！」
”「だな」”
花宮「よしっ！！
物間くんとお話できたからなんか気分がいいや！歯磨きしてもう寝るね」
”「その方がいい」”
花宮「電話、ありがと。大好き」
”「うん、僕もだよ」”
押したくなんかなかったけれど、日付を回ってしまっても困る。
泣く泣く終話ボタンを押せば、さっきまで耳元で聞こえていた彼の声は当然どこにもいなくなって、やっぱり寂しさが勝ってしまいそう。
花宮「明日は、がんばろ……」
彼の電話のおかげかなんなのか、その日はやけにぐっすり眠ることが出来た。
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作者名：sun x他1人 | 作成日時：2023年10月5日 2時
