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物間くんが病室を出てからぼけっとして数分。
心ここに在らずの私だったが、意識がしっかりしたのは、緊急ニュース速報というまぶしい字体とアラーム音によってだった。
その速報によると、神野区でいま、ヴィランとヒーローが交戦しているらしい。
それもかなり大規模な戦いになっているのだとか。
バン！！！
花宮「わっ？！」
物間「君も見てたか、ごめん取り乱して」
花宮「ううん、おかえり。」
”「まさに悪夢のような光景！突如として神野区が半壊滅状態となってしまいました！！
現在、オールマイト氏が元凶と思われるヴィランと交戦中です！」”
花宮「ねえ、これって…もしかして」
物間「あ、あぁ…おそらく爆豪を拉致した奴らだろうが…」
”「信じられません、ヴィランはたった一人！
街を壊し平和の象徴と互角以上にわたり合っています！！！」”
物間「ウソ…だろ？オールマイトだぞ！？」
花宮「なんでいきなり、こんなことに…」
きっとみんなも場所は違えど心臓を握りつぶされるくらいに恐怖を感じているはずだ。
ただただひたすらに恐怖を植え付けられ、そのヴィランはオールマイトが今まで必死に隠してきた秘密を、いとも簡単にばらしてしまった。
”「えっと、何が……皆さん、見えますでしょうか？」”
花宮「あ、あれが…オールマイト？」
”「オールマイトが萎んでしまっています！」”
こんなことに驚く暇なんてないくらいに神野は酷い状況なのに、どんどん早くなる自分の脈拍が、息の吸い方も忘れて呼吸がしにくくなる肺が。
「は、あっ…うそ、だ……こんなのッ」
”平和の象徴”がヴィランに圧されるなんて。
「A、落ち着け。」
ただでさえみんなを”守る”のがヒーローの役目。
それが、平和の象徴と言われているオールマイトだったら？
その重圧や責任は私ごときが推し量れるものではなくて、ここでオールマイトがもしも負けてしまうなんてことがあったらそれこそ、地獄が始まることを誰もが肌で感じている。
あの脳無という怪物にすら勝てなかった私が、それよりさらに大きな強大な悪をテレビ越しに感じるだけで吐きそうに、苦しくなっている。
自分の無力さ、弱さ、今までなんとなく知らないふりをしてきたものが、今この瞬間に一気に押し寄せてきてい。
物間「どうしたんだよ、らしくない」
花宮「ッ…ハ、ぁ………うッ…！」
物間「おい、A。深呼吸だ、吸って、吐いてを繰り返せ」
目じりに、あたたかく指が触れている
「ん、？」
それに、さっきよりさらにドアップになった顔、唇に触れているこの感触はまさか……
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作者名：sun x他1人 | 作成日時：2023年10月5日 2時
