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泡瀬「慎重にだぞ、Aのこと傷付けんなよ…！」
切島「わーってる！！！」
相澤先生が上から中を覗くと、そこには血を流した花宮Aの姿があったという。
根を酸で溶かして持ち運べるようにし、削りながら彼女の身体を幹の中から取り出す。
相澤「それにしても物間、お手柄だったな。」
物間「……これぐらい、当然です。」
先生も驚くぐらい、その時の物間の表情は悔しそうだったという。
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それから彼女をはじめ、怪我を負った生徒たちは病院へと運ばれて行った。
物間「イレイザーヘッド、あの。
彼女の……花宮Aの容態は聞きましたか？」
相沢「あぁ、聞いたよ。」
物間「見舞いに行きたいんですが、それが出来るぐらいの具合ですか。」
視線は真っ直ぐ合わずに、悔しそうな顔で救急車が次々に出発するのを見守っていた。
相澤「出血は酷かったのはお前も見たから分かるだろうが、ガスも身体の中回ってないみたいだし大したことは無いだろう、第一アイツはしぶといしな。」
物間「そうですか、ありがとうございます。」
それから、花宮Aと書かれた札のある病室には、毎日足を運ぶ人がいたという。
彼女が目覚めたのは、悲劇から丸一日後。
ちょうど物間が病室を訪ねていたタイミングだった。
物間「……起きた、かい？」
花宮「ものまくん…で、あってる？」
物間「うん、あってる。合ってるよ。」
彼はまだ身体を起こせず、少し不自由そうな彼女の頭を撫で、頬をなで、心底ほっとした顔で息をついた。
花宮「……ごめんね、ものまくん」
物間「何で君が謝んだよ…」
花宮「ムリ、しないでっていってくれたのに……けっこーむりしちゃった」
物間「知ってるよ、君が無理しないことなんて。」
花宮「ねえ、泣いてるの？らしくない。」
静かな病室には点滴の雫か落ちる音とAの呼吸補助マスクが曇る音、そして物間が鼻をすする音だけが響く。
物間「もう、待たなくてもいいかな。」
花宮「待つって、もしかして……あたしのこと？」
横になったまま片手を伸ばして、物間の頬に触れた。
物間「僕が絶対に君を守るから、そう約束するから。
僕の、僕だけのAになってくれよ……」
ポタポタ、私の手の甲に涙を落としながらそう言う彼はいつもより情けなくて、でもとてもカッコよく見えた。
花宮「うん、こちらこそ」
物間「こんなに、頑張るなよ。」
自分が何も出来なかった無力感かはたまた嬉しさか、彼の零す涙は溢れるばかりだった。
花宮「ね、今ならハッキリわかる。
わたし、物間くんのことがだいすきだ。」
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作者名：sun x他1人 | 作成日時：2023年10月5日 2時
