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Aと別れて、八百万を運びながら逃げ続けている泡瀬だったが、先ほどあんなに焦った顔をしていた理由をようやく納得することとなった。
泡瀬「やばいって、やばいって！こいつ！！」
何とか溶接したはいいものの、得体の知れない化け物が猛スピードで自分たちの後ろを追いかけてくる。
泡瀬「八百万！生きてるかっ！？オイ頼む、走れ！追いつかれる！！！」
しかし、とうの八百万は自力では走れない様子だった。
自分より身長の高い彼女を運びながら逃げるのは難しく、あきらめかけたそのとき、得体の知れないヴィランは攻撃を止めてくるりと真逆の方向で歩いて行ってしまった。
泡瀬「何だ？何で帰る…？」
本気の命の危機に直面したこと、死ぬと思った直前で攻撃を止めたこと、色々なことが重なり軽くパニックになっていた泡瀬の頭からはこのとき、ヴィランを食い止めていたはずのAのことなんてなくなっていた。
八百万「泡瀬さん……個性でこれを、奴に結合してください…」
八百万から小さなマシンを渡され、泡瀬は言われた通りにヴィランの背中へと結合をして安全な場所へと向かったのだった。
ヴィランが去ったあと、およそ15分で警察や消防、救急隊が到着した。
泡瀬「…ま、まってくれ、Aがいない」
自らも血を流しておりまずは処置を。と強く言われているのにも関わらず、少し暴れるように先生たちのもとへ向かった。
泡瀬「先生、Aが…どこにもいないんですけどっ、見てませんか？」
相澤「花宮が？いや、見てないが。」
ブラドキング「こっちにも戻ってきていないな。
泡瀬、花宮の動きは知っているか？」
泡瀬「さっきまで、一緒にいたんですッ！！！
変なヴィランがいて、アイツはそれをせき止めるから、と、一人になって……
俺は動けない八百万を運んでて……まさか、」
相澤「とりあえず捜索範囲を広げて貰うように頼もう、どのあたりか別れたか覚えてるか？」
泡瀬「………！覚えて、ます。
頼みますっ、俺に、行かせてください！！！」
普段からはあまり考えられないような泡瀬の様子に、クラスメイトが窘めようとする。
ブラドキング「お前も怪我してる、まずは怪我の処置をしてから…」
泡瀬「ンなもん待ってらんねえ！！
Aが今、一刻を争う状況かもしんねえのにっ、行かせて下さい！！！！！」
先生も難しい顔をするほど、その時の彼は平静さを失っていた。
「おい。」
しかし、そんな泡瀬を止めたのは、意外な人物だった。
パチン！
顔面を殴る乾いた音は、嫌にその空間に響いた。
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作者名：sun x他1人 | 作成日時：2023年10月5日 2時
