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花宮「い、今……」
”「そんなに驚くことかい？」”
花宮「ま、って、いきなりそれ…は……」
電話ということもあっていつもより声が近いように感じて、脳に直で届くような初めての感覚だった。
心臓がドクンと跳ねて顔の周りに熱が集まるのが分かった。
”「駅近くの公園って、オレンジ色のブランコがあるところで合ってるかい？」”
花宮「うん、あってるけど、何で？」
”「後ろ向いてごらん」”
まさかと思って振り返ると、そこにはラフな格好をした物間くんが立っていた。
驚いて訳を聞くと、家がここのすぐ近くらしい。
花宮「ちょっと驚きすぎて、感情が渋滞してる」
物間「そうだね、可愛らしい花がたくさん咲いてるよ。」
そういいながら物間くんは私の隣に腰掛け、徐に手に触れたかと思ったらへぇ…と興味深そうな声を漏らした。
花宮「な、に」
物間「いや、君から見た僕はどういうふうに花を咲かせてるのか気になっただけさ。
君の咲かせる花は小さくて可愛いね」
花宮「な、な…まさか！」
いつもよりも澄ました顔で、私の反応を面白がっているかのような彼の雰囲気。
ここで思い出したのが目の前にいる彼の個性のこと。
触れた相手の個性をコピーすることができる、ってい言っていたし、今の発言から見るに私の個性をコピーしたに違いない。きっとそうだ。
花宮「物間くんから見たわたしには、どんな花が咲いてるの…」
物間「んー、桃色の椿だね。摘んであげようか？」
私がお願いすると、物間くんは今日の恰好にとても似合うと思うよ、なんて言って慣れた手つきで摘み取り、耳のあたりにさしてくれる。
物間「やっぱり。」
花宮「……物間くんって、なんでそんなに」
物間「何だい？」
花宮「なんか、キザなのっ！！
恥ずかしいこと平然とやってのけるし……そのっ…て、あれ？」
物間「全く君もばかだねえ、ボクが平然にやってるように見えるのかい？」
花宮「も、物間くんにばかって言われたくないし…」
けど、それもただの強がりだということを知った。
バレないようにしても心や咲く花々は正直だ。
物間「僕だって普通に恥ずかしいと思うし、照れたりもするよ。
さ、もう暗いから家に帰ろう。近くまで送るよ。」
そうやって普通の顔して、彼は腰をあげた。
まだ話したりないような気持ちもあるけれど、合宿の準備や何やらがあって色々大変なのだ。
それに一応病み上がりだし。
それからは他愛もないことばかりを話して、家の近くまで送ってもらった。
物間「じゃあ、次は林間合宿かな。体調管理はしっかりするんだよ。」
まるで全部知っているかのように、物間くんは今日も優しく微笑んだ。
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作者名：sun x他1人 | 作成日時：2023年10月5日 2時
