三百三話 ページ8
「円堂キャプテンは諦めが悪いですから、そう簡単には沈まないでしょう？ ……もし沈みそうなら私たち、マネージャーがバックアップします」
「フッ……、そういう話を今日一之瀬たちともしたんだ。……マジン・ザ・ハンドという、ゴッドハンドよりも強い技があるらしい。円堂がそのマジン・ザ・ハンドを習得し、アイツがキャプテンとして、ゴールキーパーとしていつもの調子を出せるよう、俺たち選手が支えていかなければならない、と」
鬼道は選手で、Aはマネージャーであり、元々スポーツをする人間だ。そしてチームメイトでも感情的にならずに、客観的に選手を評価できる。こういう点ではとても鬼道とAは相性がいい。Aは選手として、マネージャーとして忌憚なき意見や疑問を述べるし、鬼道はそれに答える。
「……女子が大会に出られないのが本当に残念でなりません」
「試合に出たいのか、A？」
鬼道の問いにAが頷く。自分が選手で在れたのなら、もっとチームに貢献できる。もっとチームを良く知り、フォローができるのに。ボールを通してチームメイトの気持ちを知ることができるのに。……また彼と、フィールドを駆けることができるのに。
「出たいです。……外にいたのでは、みんなの世界は見えないから」
Aはそう言って悲しげに微笑を浮かべる。地面に転がったサッカーボールに視線を落として思った。私には見えない。フィールドを出て、陸上のトラックを出て、見えなくなってしまった。彼の世界も。彼の心も。
彼の特徴的な青が風に舞っている。Aはタオルを畳むためにベンチに掛けていたが、その手は止まっていた。視線はじっと、その先の爽やかに笑う彼に向けられている。呆然と、流れるように走る彼をAは見つめ続けていた。この頃の練習はこうやって彼ばかりを見つめることが多かった。
気が付けばそうしている、部活の時はもちろん昼休みなどの休み時間も、彼が視界に入ればそうだ。こうやって彼を眺めている。迷惑だとわかっていてもだ。それは無意識の中で行われていることなのだから、Aにどうにかできることでもない。
「気になるの？」
「……っ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 50人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麻衣蘭 - すみません。やすけさん宛です。 (2019年1月4日 8時) (
レス) id: 396c72dd9d (このIDを非表示/違反報告)
麻衣蘭 - さやさん» 完結おめでとうございます！お疲れさまでした。次回も楽しみにしています。ネットが悪く、なかなか読めなく申し訳ないです。これからも頑張って下さい。また覗きに来ます！ (2019年1月3日 22時) (レス) id: 396c72dd9d (このIDを非表示/違反報告)
羅星竜(プロフ) - 前回コメントさせていただいた者です、!!完結おめでとうございますｯ、!! これを読むのが毎日の日課になってます…、(´`*) これからも更新頑張ってください、! (2018年12月31日 10時) (レス) id: 3b120ff894 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - やすけさん、完結おめでとうございます！そしてお疲れ様でした。ここまで読み続けてきて本当に良かったと思っています。次回作であるエイリア編も是非楽しみにしていますね…！これからも夢主ちゃんと風丸くんの行く末を見守らせて頂きます…！ (2018年12月31日 9時) (レス) id: 8fe26207ce (このIDを非表示/違反報告)
やすけ(プロフ) - 麻衣蘭さん» 麻衣蘭さん、コメントありがとうございます！毎日見てくださってるんですね、嬉しいですありがとうございます！実は今日の更新が最終回です。どうぞ最後までよろしくお願いします。 (2018年12月31日 0時) (レス) id: 2278c0528b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やすけ | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/my_dreamwould
作成日時：2018年12月12日 0時
