第八十七話 ページ7
「−−−−ねえねえAちゃんてば〜」
夜久様と出かけた次の日。
今日は午前中はずっとレッスンで、それから夜見世まで時間があったため、いつも通り通りをぶらぶらと、食べ物を買い食いしながら歩いていた。
…それが、十数分前、急に後ろから声がかかったかと思うと、それはなんと黒尾様だったのだ。 黒尾様は仕事関係でこの辺へ来てたとのことだが、…なんとひどいタイミングだろうか。
「ちょ、ちょっと！ だから今日は予定があるんです．．．ござりんす！！」
「やっぱ普段の口調のが可愛いね。 慣れないならそっち使ってもいいよ」
「いいえ！ 主様がわっちの店の客である限り、わっちは．．． って、やめ．．．！ 離しなんし！」
「いいじゃん？ ちょっとくらい、予定無視したって。 ねえ？」
「駄目でありんす！ わっちはお客のところへ行かねばなりんす！」
「へ〜え？ そのお客って誰なわけ？ やっくん？ それとも、スガくん？」
「ど、どうしてそんなこと、聞くのでござんす」
さっきから、私が歩く横からこんなことばかり話しかけてくる。 …本当は、夜にお客様の予定なんてないが、黒尾様は、どうも苦手で。 姉さんや女将さんに知られたら、きっと怒られ…、や、絶対怒られるだろうけど、どうか今日だけは、嘘をついても大目に見てください。
「いんや、あの辺がお前にご執心だったな〜って思って。 それにあのくらいじゃねえと、俺の誘い跳ね除けらんないっしょ」
「揶揄うのはやめなんし！」
だから、そもそも先約があれば、それが先なわけで。 地位でそれがどうこうなるわけじゃないし、跳ね除けるって意味わかんない！ 太夫にでもなればそれも変わるんだろうけど、私はただの新造！ デビュー仕立て！！
そろりと肩に回された腕を振りほどきながら、私はそう大きめの声で抵抗した。
「−−−−あれ、黒尾サンじゃないですか。 こんなところで何やってんですか」
すると、その時突然そんな声が聞こえてきて、黒尾様から視線を外し、前を見る。 すると、ひときわ目立つ、上背のある人影がこちらへと歩み寄ってきていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1945人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
多趣味のM(プロフ) - そこで!?って叫んじゃいましたｗ続き気になります!!更新待ってます!! (2020年10月18日 15時) (
レス) id: 2c30e4e7ea (このIDを非表示/違反報告)
ねこ。 - 今まで読んできた吉原の小説で一番面白い作品です！頑張って下さい！私は作者様を応援しています！ (2018年4月28日 12時) (レス) id: 8444393bfc (このIDを非表示/違反報告)
まむ(プロフ) - 何度も読み返させて貰ってます！大好きです！また更新されるのをまってます！ (2018年3月10日 14時) (レス) id: f3b21a5c27 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 最初から楽しく読ませて頂きました！とても面白く、素敵な作品に出会えて嬉しいです、！それと同時に続きがとても気になります、、もう更新される予定は無いのでしょうか？大変だと思いますが、大好きな作品ですので更新楽しみに待っています！！ (2018年1月29日 22時) (レス) id: f709374f1c (このIDを非表示/違反報告)
おばりょん(プロフ) - まだ、完結してませんよね？？これからも応援してます！ (2017年8月7日 16時) (レス) id: 571bd0a238 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星月夜 | 作成日時：2017年3月26日 8時
