第九十三話 ページ13
「なんでしょうか?」
「−−−−これ、もらってほしいなって」
すると、私が何か反応する間もなく、す、と伸びてきた綺麗な手が、私の髪に触れた。
「あの……?」
触られた付近を、恐る恐る探ると、そこには私がここに来る前にはなかった違和感が。 これは、もしかして。
「髪飾り。 この前偶然見つけて、なんだか衝動買いしちゃったんだよね」
「よ、よしなんし! そんな高価なもの!」
「いいから、もらっておいてよ。 それをあげられる相手なんて君以外思い当たらないし」
「そうは申しんしても…」
「…じゃあさ、こんなこと言うとそれ目的で買ってきたみたいで嫌だけど、どうしても何か心配事があるなら、これからも俺と会ってくれない?」
慌てる私の顔を見て、少し考える様子を見せた後に、赤葦様はそう言った。 それは、当然出来ることだけど、それって赤葦様が私にお金と時間を払ってくださるということで…?
「わ、わっちはもちろん大歓迎でござんすが、そんなことでほんによろしいんすか…?」
赤葦様はほほ笑んだ後、「勿論」と一言言って安心したように息を吐いた。 私は未だに、どうしてそんな当然のことを聞かれたのか、頭の中で何とも結びついていなかったけれど。
すると。
「…実は、この一週間ずっと君の予約を取りたいって問い合せてたんだけど、ずっと断られてて、こんなに時間経っちゃった」
「え……」
少し考え込んでいた中、突然そんなことを言われ、驚いてそれ以上言葉を発せなくなった。 一週間、ずっと? それに、断られてたって?
特にお客様の予定が入ることもなく過ごしていたこの一週間は、偶然ではなく、女将さんが意図的に作り上げたものだったの?
私の中で一瞬にして疑問がビルのように建設され、女将さんへの不信感は再び募っていったのだ。
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多趣味のM(プロフ) - そこで!?って叫んじゃいましたw続き気になります!!更新待ってます!! (2020年10月18日 15時) (レス) id: 2c30e4e7ea (このIDを非表示/違反報告)
ねこ。 - 今まで読んできた吉原の小説で一番面白い作品です!頑張って下さい!私は作者様を応援しています! (2018年4月28日 12時) (レス) id: 8444393bfc (このIDを非表示/違反報告)
まむ(プロフ) - 何度も読み返させて貰ってます!大好きです!また更新されるのをまってます! (2018年3月10日 14時) (レス) id: f3b21a5c27 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 最初から楽しく読ませて頂きました!とても面白く、素敵な作品に出会えて嬉しいです、!それと同時に続きがとても気になります、、もう更新される予定は無いのでしょうか?大変だと思いますが、大好きな作品ですので更新楽しみに待っています!! (2018年1月29日 22時) (レス) id: f709374f1c (このIDを非表示/違反報告)
おばりょん(プロフ) - まだ、完結してませんよね??これからも応援してます! (2017年8月7日 16時) (レス) id: 571bd0a238 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星月夜 | 作成日時:2017年3月26日 8時