第三十五話 ページ35
あー心臓バクバクする。
早く治まれ、お酌して話すだけだし、大丈夫。
素早く脈打つ心臓をに抗うように深呼吸してから、戸を開ける。
「失礼いたしんす．．．」
初めて、お客様の前で使う廓言葉は拙い。
一礼してから、見上げると。
「「あっ」」
．．．嘘でしょ。
写真の一人、夜久衛輔。
彼がそこにいて、私を見つめていた。
え？ていうか今夜久様もお声を
あげましたよね？何故？
「あ、えと、ごめんなんし、
なんでもござりんせん。」
「あー．．．俺も。わりぃ。」
ほんとのところ、夜久は今、
とても動揺している。
それを表に出さないように彼女から視線を逸らした。
な、なんでもないのか、よかった。
なんでこんなのが？とか思われてたらどうしようって思ってた。
「少しの間、お隣失礼いたしいす。
Aと申しんす。」
夜久様に近づき、
お膳を差し出してからお銚子を持つ。
「お、おう．．．」
びくっと肩を震わせながらも、
杯を持った夜久様。
私に目を合わせることなく、差し出す。
．．．なんだろ、私嫌われてるのかな。
え、まだ三分と経ってないんですけど。
そんなことを思いながらも、お酒をついだ。
ぐびっと飲み干した夜久様は、
私をちらっと見てから、また目をそらす。
あー、なんだろ、やっぱり嫌われてるわ、これ。
彼女はそんなことを考えるものだから、
それがそのまま表情に出て、
偶然彼女を見た夜久が眉を下げた。
朝霧がいたら、お客様が目の前にいるのに
考え事だなんて、と小一時間叱られるだろう。
「．．．そういや、お前今日お披露目だったろ？」
「えっ、あい、そうでありんす。
知っていたのでござんすか」
「ま、まぁな。」
突然の言葉に驚いたが、どこか嬉しかった。
そして二杯目を注ぐ。
「もしかして、客は俺が初めてか？」
それを飲み干した夜久様は、
ほんのりと頬を赤くしながら聞く。
お酒、強いの注文してたな。
「．．．あい。」
三杯目を注ぎながら、答えた。
「そ、そうかよ．．．」
何かを隠すように酒を飲み干す夜久様。
あー、赤みが増したけど、これは照れかな。
クスっと、彼女は笑った。
それを見た夜久は、更に顔を赤くする。
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颯 - 黒尾鉄朗がっごいいいいい (2015年3月21日 9時) (
レス) id: 6d17eb9fea (このIDを非表示/違反報告)
りっさん - 夜久さん素晴らしいです。グッジョブです！！ (2015年3月18日 22時) (レス) id: 9319e60931 (このIDを非表示/違反報告)
玲 - 第29話の三行目の黒尾様が＿＿ってところ黒男様になっています！あ、これわざとでしたか？？でも気になったので指摘してしまいました；；； (2015年3月15日 16時) (レス) id: 0fb612002d (このIDを非表示/違反報告)
星月夜(プロフ) - かよさん» 本当ですか！！？もうその一言だけで今胸がいっぱいになりました。ありがとうございます．．．！ (2015年3月15日 11時) (レス) id: c4da7f23ba (このIDを非表示/違反報告)
星月夜(プロフ) - ７時さん» 嬉しいです．．．！ありがとうございます！！赤葦さんかっこいいですよね(笑) な、殴られました！？さらっと言ってますが大丈夫ですか！？(笑) 更新頑張ります！！ (2015年3月15日 11時) (レス) id: c4da7f23ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星月夜 | 作成日時：2015年2月26日 12時
