第二十八話 ページ28
・・・・・・。
暫くの沈黙。
彼女は目を点にして、
菅原は笑顔を崩さない。
そんな中、最初に口を開いたのは菅原。
「...すぐに答えは出ないよね。でも、頭の隅に置いておいて、
考えてくれると、嬉しいかな。」
あまりに綺麗な笑顔だったため、
私は菅原様を見つめたまま目を離せない。
考えることももう放棄する。
ふっと菅原様の体が私から離れると、
温もりの余韻と寂しさが私を包む。
「あ、」
「んっ!?」
でももう一度私を抱き寄せて、
「一晩だけじゃないから。そこは勘違いすんなよ...?」
と、囁いた。
少し影を孕んだその笑みで体温が上がっていく。
「そ、そんなことッ...」
「最初から分かってた?」
「っ...!!」
ニヤリ、と何処かからかうような菅原様。
あ”ーーーっもーーーー!!!調子狂うなあ!!
そして今度こそ私から離れた菅原様は、
『じゃ、明日ね』と言って背中を向ける。
振り返って手を振った菅原様に
ペコリと一礼して、姿が見えなくなったところで
厨房へと急いで戻った。
・
・
「うあぁ...疲れた。」
やっと店の手伝いを終えて、
自室で日記を書きながらため息をつく。
ちなみにあれから姉さんにこっぴどく絞られ、
もう私殺されるんじゃないか。って位働かされました。
えぇと、今日はまず日向さん...あ、
今度いらっしゃったときはきちんと様付けしなきゃな。
じゃなくて。
日向さんとかくかくしかじかあって、
お着物をいただいて...
心の中で今日あったことを唱えながら、
万年筆を滑らせる。
あ、読み返すと今日すげぇ濃いな。
ここを出ていけるために前進出来たっていうのに、
どうしよう。あんまり嬉しくない。
「んがーーーーー。」
最後の菅原様の言葉もフラッシュバックされて、
机に頭を打ち付ける。
と、その時。
「夜遅くにすみません。
A姉さん、いますか?」
小声で障子の向こうから話しかけてきた女の子。
あ、一応私だって後輩にとっちゃ、
姐さんなんだけらね。何もおかしくないんだから。
「起きてるよ。今開けるから待ってて。」
万年筆を置いて、ノートを閉じて、
私は障子へと近づいた。
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颯 - 黒尾鉄朗がっごいいいいい (2015年3月21日 9時) (レス) id: 6d17eb9fea (このIDを非表示/違反報告)
りっさん - 夜久さん素晴らしいです。グッジョブです!! (2015年3月18日 22時) (レス) id: 9319e60931 (このIDを非表示/違反報告)
玲 - 第29話の三行目の黒尾様が__ってところ黒男様になっています!あ、これわざとでしたか??でも気になったので指摘してしまいました;;; (2015年3月15日 16時) (レス) id: 0fb612002d (このIDを非表示/違反報告)
星月夜(プロフ) - かよさん» 本当ですか!!?もうその一言だけで今胸がいっぱいになりました。ありがとうございます...! (2015年3月15日 11時) (レス) id: c4da7f23ba (このIDを非表示/違反報告)
星月夜(プロフ) - 7時さん» 嬉しいです...!ありがとうございます!!赤葦さんかっこいいですよね(笑) な、殴られました!?さらっと言ってますが大丈夫ですか!?(笑) 更新頑張ります!! (2015年3月15日 11時) (レス) id: c4da7f23ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星月夜 | 作成日時:2015年2月26日 12時