【HQ】私を買うのは。

第二十四話 ページ24

．．．あれ、もしかして違うように受け取られた？





菅原は、目の前で考え込む女の子を眺めながら、
顔をひきつらせる。




彼女はというと、顔をしかめたり、真っ青にしたり、
わかりやすく表情を変えながら唸っている。






俺はただ『黒尾君は君に興味を持った』的なニュアンスを
伝えたかったんだけど．．．






．．．表現が過剰だってこの前月島に言われたのを、今理解した気がする。







「あ、あのさ、」


「あ、はっ、はい！？」


話題を変えようと声をかけたものの、相当考え込んでいたようで
驚いた顔をしてから焦ったように返事を返す。



「えーと．．．君の名前、教えてくれない？」



見かねて助けた菅原だが、名前を知っていたわけではなく、
結構前から気になっていたことだ。



「．．．Aです。」


「Aちゃんかぁ、俺は菅原孝支。」


「知ってます。あと呼び捨てで構いません、菅原様。」


「えっ、．．．分かった。」



あれ、なんかすごいドライ。
さっきまで顔真っ赤にしてたのに．．．



苦笑いしながら頬を掻く。



内心苗字も気になった菅原だったが、
吉原の人間は皆わけありだと理解しているため
俯いた彼女へ追求はしなかった。





「．．．ってなんで俺の名前知ってるの？」


知ってます。なんてあっさりと答えた彼女だが、
当然菅原にはそんな疑問が残る。


「あー．．．噂ですよ、誰でも知ってるかと。」


実はこの理由、今此処で考えたものではない。

写真を見るまで姿と名前が一致していなかったが、
数々の噂は本当に聞いたことがあったのだ。


「へぇー、そうなんだ。」



．．．どんな噂が回っていったんだろ。
変な噂だったらやだなー。

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