検索窓
今日:3 hit、昨日:42 hit、合計:773,788 hit

第十話 ページ10

「...って、あ”ーーーー!!」



店の中の時計に目が止まると、
悲鳴とは取れない...叫び声をあげる。



「A!?、どどうしたんだよ!」


丁度、会計が終わり戻ってきた日向さんが
驚いて焦ったように私に駆け寄る。



「あ、ああああああ」


わ、忘れていた!!




一時からの稽古!!





もう二時近いじゃないか!!




ぎゃああああと頭を抱える。





綺麗な着物を着ているのに、
実に勿体ない行動だ。






「A...?」


オロオロとしたその声色に、
はっとして顔を上げる。



「日向さんすみません!!」


そして次の瞬間また勢い良く下がり、
日向はくるくると変わる彼女に困惑する。



「えっ、や、そんな!!
...ってどうしたの?」



顔を少し上げ、小さく答える。




「ちょっと用事があったのを...思い出して...」


日向さんの顔を見ると、見るからに悲しげだった。


「そっかぁ...」


絞り出すような声。



うわぁ...すごい気まずい。
せっかく高い着物頂いたのに、すぐ逃げるみたいで
なんか...ほんと申し訳ない。




どうすれば、と脳をフル回転させる私。





「じゃあ、今日は...」


日向さんが別れの言葉を口にしようとした時。


らしくもない言葉が口から飛び出した。





「あの、」


「?」






「私、近々ここいらで一番の遊女屋のお店に出ることになりました!
だから、その、昼間とか…… 仕事中でよかったら、ぜひ遊びにきてください!
また会いたいで、す...?」



「へっ!?」



突然の言葉に、目が点になる日向。
彼は慌ててばかりだ。





「...あ、えっと、
お着物ありがとうございました!失礼します!」


「ほぁっ!?」




この空気に耐え切れなくなった私は、
一方的に挨拶を交わしてその場を去る。




ちくしょう、
テンパりすぎて文章おかしくなった。

また会いたいですってなんだよ馬鹿か。
また会ってお礼したい的な事を言いたかったの!



ぐあああああああ。もう!!



耳を真っ赤にしながら、
彼女は早足で稽古場に向かう。



その姿に、振り返る人がちらほらいたとか。











「...なに、あの人。」


眼鏡の彼も、ほら。

第十一話→←第九話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (899 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1246人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , HQ , 逆ハー   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- 黒尾鉄朗がっごいいいいい (2015年3月21日 9時) (レス) id: 6d17eb9fea (このIDを非表示/違反報告)
りっさん - 夜久さん素晴らしいです。グッジョブです!! (2015年3月18日 22時) (レス) id: 9319e60931 (このIDを非表示/違反報告)
- 第29話の三行目の黒尾様が__ってところ黒男様になっています!あ、これわざとでしたか??でも気になったので指摘してしまいました;;; (2015年3月15日 16時) (レス) id: 0fb612002d (このIDを非表示/違反報告)
星月夜(プロフ) - かよさん» 本当ですか!!?もうその一言だけで今胸がいっぱいになりました。ありがとうございます...! (2015年3月15日 11時) (レス) id: c4da7f23ba (このIDを非表示/違反報告)
星月夜(プロフ) - 7時さん» 嬉しいです...!ありがとうございます!!赤葦さんかっこいいですよね(笑) な、殴られました!?さらっと言ってますが大丈夫ですか!?(笑) 更新頑張ります!! (2015年3月15日 11時) (レス) id: c4da7f23ba (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:星月夜 | 作成日時:2015年2月26日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。