episode41 ページ42
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クスリ、小さく笑ったAはポツリポツリと話し始める。
『──時々ね、嫌な夢を見るの』
「嫌な夢？」
フレッドは優しく頭を撫で、ジョージは頬を優しく撫でながら話を聞いた。
『うん。知らない女の人と、男の人が苦しんで、叫ぶ夢』
「随分、物騒な夢だな」
フレッドの言葉に『でしょ？』なんて笑う。
『……でもね、まるで、あたしの事が愛おしい、みたいな目で見てくるの。……あたしも、起きると、泣いちゃってて……誰なんだろう、って。そしたら、鏡に出会ったの』
「どんな鏡なんだい？」
『その女の人と男の人が笑顔で映る鏡。……凄く、優しい笑顔でね、また泣いちゃうのよ。ずっと、会いたいって、体がそこに勝手に行ってたわ──きっと、昨日も』
Aは伏目がちに呟くように話す。双子は静かに耳を傾けている。
医務室はとても静かだ。
『そのことで、中々寝付けない日もあったの』
「……それがあの時のか」
ジョージは泣いていたあの日を思い出す。
今、想いを寄せる女の子が必死に、あの時の事を話そうとしてくれていることに、ジョージは愛おしくてたまらなかった。そして、彼女のこの苦しみを取り除けてあげたいと、思う。
それはフレッドも同じだ。寝付けていないことは、ジョージと共に気付き心配していた。
『……自分の事もよく分からないし、この夢の事もわからない。でも、きっと知ってるはずなの……確証があるわけじゃないけど。ただ──この夢を見るのは、こわい』
Aは小さく震える。苦しむ人の夢など、知らない人であっても見たくはない。
知りたいが、知るのが怖い。そしてその夢を見るのも怖い。
相変わらずの弱さに自分で情けなくなる。
「……覚えてるか？前に言ったこと」
ジョージは頬を優しく撫でたまま、優しく話す。
「”泣きたくなるほど辛い時は、俺の傍で泣いてほしい”って。それは俺も、フレッドも同じなんだ。だからさ、泣いて良い。弱くたっていいんだ。……頼むから、1人で苦しむなら、俺達のとこにおいで」
優しくそっと、抱きしめられるとAはゆっくり上半身を起こす。後ろからフレッドに抱きしめられれば、2人の優しさに沈みそうだった。
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高菜(プロフ) - あおさん» わわ、こちら誤字でした(´;ω;｀)「魔法」ですね。修正しました！ご報告ありがとうございます。助かりました。 (2021年12月18日 20時) (
レス) id: 5d2279693e (このIDを非表示/違反報告)
あお - な方？ (2021年12月18日 19時) (レス) @page37 id: 46efee1d0c (このIDを非表示/違反報告)
高菜(プロフ) - 星空夢月さん» 読んでいただき、ありがとうございます！わー！すみません、ありがとうございます！修正しておきます。誤字報告助かります！ (2021年12月11日 13時) (レス) id: e272390ee5 (このIDを非表示/違反報告)
星空夢月(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます！エピソード41の始めの文のところが、名前になってます！！ (2021年12月11日 11時) (レス) @page42 id: 335f3bf1dc (このIDを非表示/違反報告)
高菜(プロフ) - 不死川さん» 読んでいただきありがとうございます！大好きと言っていただけて、本当に嬉しいです。長いお話にはなりますが、最後までお付き合いしていただけるよう、頑張ります！ (2021年12月9日 15時) (レス) id: e272390ee5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：高菜 | 作成日時：2021年12月4日 21時
