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村山良樹 ページ1

「……もう、本当に最悪」

鬼邪高地区の荒れ狂った路地裏は汚く、狭いし暗い。確かにもう夜だ。しかし、街灯の光なんて此処には届かない。おかげで真っ暗で、今の状況なんて見れる訳もなかった。
村山さんが最近この辺も危ないと聞いてはいたが、まさか追っかけ回されるなんて思ってもなかった。逃げる時に捻った足首がとても痛いが、恐怖の方が大きかった。

隠れるように身を縮こませながら、考える。

全日制に入学した理由は親の都合だ。そもそも、女子をこんな危ない学校に入学させる親には驚いたが仕方がない。そう言う家系なのだ。喧嘩はその辺の男よりは強い、しかしあんなに大人数の相手なんて出来る訳がない。
手には鉄パイプ、黒一色の服装に顔は見るからに人相が悪い。こんな夜だし。携帯は何処かに落として助けなんて呼べない。本当に、最悪だ。

「オイッ!見付けたか!?」
「クソッ!居ねえ!平井さんに怒られンぞ!」
「探せッ!」

男達の声に思わず肩がビクリと揺れてしまう。ダメだ、怖い。このまま捕まっちゃうのかな、もうやだよ。
思い浮かべる顔は村山さんの顔だ。年下のこんな子供を可愛がってくれて、気にかけてくれる私のヒーロー。でも、そんなヒーローは今は不在だ。SWORDの集会だとかなんとか。そう、彼はSWORDのOを背負う頭だ。そりゃ忙しい。特に最近は。

いつまで経っても此処に居る訳にはいかない。逃げなきゃ、せめて鬼邪高校にでも。
私は深呼吸する、ゆっくり。特別に作ってもらった女子用の制服のスカートを強く握り締め、立ち上がる。路地裏の奥まで駆け足で進むとフェンスが立ち塞がり、軽々と登ってみせた。

あ、意外と高い。この際下着が見えるとかはどうでもいい。逃げなきゃ、あんな人数相手に出来ない。

「おい!居たぞ!」
「あー!最悪!」

背後から声が聞こえれば勢い良く振り向く。うわ、5人以上居るし。そして前にも居るのだ。これは終わった。
フェンスの上に立った私はどうしようかと必死に頭をフル回転させるものの、解決策は見つからない。こんな時、村山さんなら簡単にぶっ飛ばせるのだろう。いつも傍に居てくれる村山さんに助けられているのだ、そう考えると涙が出そうになる。

あ、本当に泣きそう。

ギュッ、とスカートを握った瞬間だった。聞き慣れた声が聞こえたのは。

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ハゲ天使(プロフ) - りなさん» 感想ありがとうございます!そう言って頂き、嬉しいです!6月辺りまで忙しいので、その間に沢山ストック出来ればと思ってます。お待たせしてしまいますが、お待ち頂けたら嬉しいです! (2021年4月20日 1時) (レス) id: e272390ee5 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - 面白いです!!!また書いて欲しいです!!すごく好きです(*^-^*) (2021年4月19日 21時) (レス) id: 6f526db43c (このIDを非表示/違反報告)
ハゲ天使(プロフ) - ぽんさん» 書き込みありがとうございます。此方の確認不足で外し忘れておりました。今後このような事がないよう、気を付けていきます。直ぐに確認して外させて頂きました。本当にありがとうございます。 (2020年9月26日 3時) (レス) id: e272390ee5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハゲ天使 | 作成日時:2020年9月26日 2時

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