幻の虎戦士。

今を生きて行け。 ページ43

西川遥輝side

『それがあって、今の私があるんです。兄や親友から離れて、自分なりに感情をコントロールして、他人に必要以上に関わらない、一種のロボット。それが、私なんです。』


自分の過去のことを話すAの目に、あるはずの光はなかった。


ただただ世界を写してる、冷たい目だった。



他人に干渉せず、自分をコントロールしながら生きてきたA。多くの人は彼女を哀れである、可哀想、というかもしれない。



でも、こうは考えられないのだろうか？



「…強いんやな。」


『私は強くなんかないです。他の人を傷つけることしかできなくて…生きる価値なんてないんですよ。』


谷口「それは違う。Aは僕が見てきたなかで一番強い人だよ。自分では弱い、と思うかもしれないんだけど、僕らが持ってない何かを持ってる。」


『皆さんが持ってないもの…ですか？』


「Aは、球界にいる誰よりも努力を知ってる。翔平というお兄ちゃんがいて、そのお兄ちゃんを超えたい、自分を認めさせてやるって…ずっと頑張ってきたやん。誰よりも努力を重ねた結果が、今のAなんやと思うで。」


『西川さん…でも、私は昔…』


中田「過去の自分は捨てろ。大事なんは、今のお前を大切にすることや。昔に囚われてたら、何も変わらん。まだ若いんやから、いくらでもやり直しはきく。過去に囚われて、変わらずに終わるのが一番カッコ悪いぞ。」



『中田さん…こんな私も変われるんですか？』


杉谷「大事なのはできるか、できないかじゃないと思うよ。できる、できないじゃない。やるか、やらないか。それだけの違い。それだけの違いが、この先のAを大きく変えると思うよ。」


『杉谷さん…





たまには良いこと言うんですね。ただ杉谷さんがそういうこと言っても…なんか、違う気がします。言われるとして…中島さんですかね？』


杉谷「俺の扱い！」


中田「まあ、杉谷は杉谷のままってことや。」



杉谷「それ褒められてないっすよね？」





中田「『そうですね(やな)』」


杉谷「ちょっと！凉まで！」



〈日ハムは賑やかです〉

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