過去の真実。 ページ41
中島side
『家出して、関西の方まで来て、男装して野球が強い高校に入りました。ずっと、自分の本性を隠して、演技をして生きてきました。』
「で、そのまま阪神に入団したと。」
『はい。阪神に入ってからも自分が女であることを隠してたんですけど…ある人にはバレました。』
女だからって差別されて、家出して、ずっと自分を隠して生きてきて…
どれだけ辛い思いをしたのだろう?慕ってきたはずの兄からも離れ、どれだけ苦しかったのだろう?
彼女の目には何も写っていなかった。
『藤浪さんにはバレました。でも、黙っていてくれたんです。というより、私が黙っていてってお願いしたんです。また前のようになるのが怖かったから。』
西川「…辛かったんやな。」
『辛いとか、苦しいとか、そういう感情が私にはないんです。演技をする上で邪魔になってしまう感情とか、その類いのものは捨てました。私が"大谷凉"になるために。』
中田「そこまでする必要はなかったやろ。そこまでして大谷凉でいる必要は『あるんです。』
『大谷Aとしての私を、誰も認めてくれなかったんです。認めてくれたのは、お兄ちゃんだけで…みんな、女としての私は見てくれなかったんです。』
杉谷「少なくとも俺らは認めてるけど?」
宮西「拳士勝手に…まあ確かにそうだけどな。俺らファイターズはAのことを認めてるから。俺らのこと信じてみんか?」
『信じる…ですか?』
少なくとも俺はAを認めてる。演技をして俺らを騙してきたのかもしれないけど、騙された、とかこれっぽっちも思ってない。
谷口「今のAが人を信じられないのは理解できるよ。でもさ、ファイターズの人達は信用できるよ。今のAが翔平やタイガースの人達を信じてるように、俺らのことを信じてみてよ。」
ずっと"無"だったAの目に、涙が浮かんだ気がした。
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名無し70024号(プロフ) - 大谷翔平の漢字間違ってます!! (2022年2月3日 0時) (レス) @page2 id: e528b3bdc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神瀬結衣 | 作成日時:2018年12月18日 20時