私が踊る理由。�� ページ30
私が病院で目を覚ましたのはちょうどデビューするはずだった日。そしてその時にはもう何もかも手遅れだった。
『…兄様たちは？』
その問いに事務所の人は苦笑いするだけだった。その様子から私は何となく察した。
私が兄様と呼び慕う彼らはもうこの世にいないこと。捉え方によっては彼らが私を亡き者にしようとしたとも解釈できること。現に彼らの行いによって私が命を落としかけたこと。
彼らへの恨みとかそういうのは浮かんでこなかった。多分それは彼らなりに悩み苦しんだことを知っていたからだ。
メンバーの葬儀は出ようとしたが遺族…メンバーの母親に疫病神は来るなと塩を投げられ参列を拒否された。線香をあげることさえ許されなかった。
そしてその遺族から私に渡したいものがあると呼ばれた。表面上だけは私を歓迎した人達から何枚かの写真が入った封筒とあなたに、って部屋に置かれていたという手紙を渡された。
封筒には私達がこれまで撮ってきた写真があった。確か三十枚近く。
私が写っている写真は全て私の顔が黒や赤のマーカーで塗りつぶされていた。
手紙の方は一目見て違和感を感じた。それは同席したお兄様も感じたようで本当にあの子が書いたのかとしきりに目の前の母親に質問していた。
明らかに彼のものではない筆跡で書かれた手紙には私への恨みつらみが残されていた。
私が加入したこと、加入後すぐセンターに抜擢されたこと、そもそも私がジャニーズに入ったことやお兄様の娘になったことまで。普段穏やかな彼からは想像もつかない程攻撃的な言葉が綴られていた。
彼の母はその手紙を証拠に私が息子を追い詰めた、グループの解散も息子が命を絶ったのも全て私が悪いのだと言い張った。彼女は続けて警察には届けないし裁判も起こさないからアイドルを辞めて一生償えと私を脅した。
少女は初めて向けられた自分への明確な殺意と怨念に似たものに戸惑った。少なくとも私が知る彼らからはそんなもの向けられることなどなかった。
アイドルを辞める件については僕達二人だけでは決められないからと持ち帰る事になった。彼女は最後まで私を睨んだままだった。
帰りの車内でお兄様が私に問う。Aはこれからどうしたいかと。
『私は続けたいよ、アイドルの仕事』
滝沢「じゃあそのままでいい。後は大人に任せなさい」
『…いいの？』
滝沢「今のAにできるのはあいつらの分まで皆をマーベラスにすることだよ」
『…わかった。やってみる』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 890人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
神瀬結衣@虎党(プロフ) - 美紀さん» コメントありがとうございます！美紀様も体調にはお気をつけくださいね (2023年2月14日 20時) (
レス) id: 86c45c0b8a (このIDを非表示/違反報告)
美紀(プロフ) - Snow Man大好きです最高ですコロナと気温差がすごいので体調に気をつけましょう (2023年2月14日 17時) (レス) id: e7f1610a24 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：神瀬結衣@虎党 | 作成日時：2023年2月13日 0時
