心を拾った虎の子。

祝福 ページ20

最後の一人、というところで曲もちょうど終わった。


『こーちゃん、』

T5「A、四年間お疲れ様。ずっとAのことを見ていたけど真っ直ぐ前に進む姿、綺麗な瞳、やっぱり大好き。ずっと純粋なままのAでいてください」


贈られたのは青いヒヤシンスだった。花言葉は「変わらぬ愛」
長い空白の後にお互いを想いあった自分たちにピッタリだと思った。



T5「ファンの皆さんもご存知だと思いますが、僕は星野Aさんとお付き合いしています」

その一言で、球場の空気が変わった。


T5「幼い頃から一緒にいて、彼女のことをずっと見ていて、一度は諦めたのに諦められなかった。そして、Aが引退を発表した時に自分もまた素直になろうと決心しました」









T5「Aさん、僕はあなたのことが好きです。僕と結婚してください」








一瞬、時が止まったような気がした。そしてゆっくりと脳が動き始めた。


手に持っていたマイクを握り直し、溢れる気持ちを言葉にする。

『こちらこそ、よろしくお願いします』



わあぁっ、とホームランを打った時と同じような歓声が甲子園に響き渡った。
彼の手がこちら側に伸びて、そっと抱き寄せられた。


『自分でええの？』

T5「A以外は考えられへん」

きっと今、世界で一番幸せだ。


ちょっと離れて、気恥ずかしそうに顔を見合わせた。

T5「良い……よな？」

『ええよ』

どちらともなく、唇がぶつかり合った。



T60「よっしゃ、突撃ーー！！」

『え？……わぁあ！？』

中谷さんを始めとした水掛特攻隊が攻撃してきた。


『平田さん何してるんですか』

D6「別にええやん！」

Ys45「近本君、うちの娘のことよろしく頼むよ」

E14「俺の妹幸せにしろよ」

T21「やっとか。遅い、遅すぎる」

T19「今日は赤飯炊かなあかんのちゃう？」


言葉や形はどうであれ、皆、祝福してくれた。

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