心を拾った虎の子。

志半ば ページ17

そして、タイガースのチームメイトから。

皆渡したかったみたいだけど全員は無理だから学年で出てきて、一人が渡して残りがハグ。


若い子たちから。花束をくれたのは、

純矢君、りっくん、あっちゃん(T65)、海くん、ハマチくん、はるる、高山さん、中谷さん、原口さん、西さん、イトカズさん、ポンさん、岩田さん、中田の賢ちゃん、藤川さん、ノウミサン、福留さん。

選手会長の梅さん、キャプテンの糸さん、監督、清水コーチ、良太さん、平田二軍監督。



はるるや才木きゅんは泣き崩れていた。行かないでって何度も首を振って、顔をぐしゃぐしゃにして。

静かに涙を浮かべる熊ちゃんや高山さん、子供のようにわぁわぁ泣く中谷さん、離したくないと強く抱きしめる秋山さんや梅野さん。


皆、泣いていた。

『梅野さん、そろそろ自分が潰れそうなんですが』

T44「わかってる、、、でも、野球選手じゃなくても近くにいれるのに野球選手のAを離したくない」

『自分もです。でも、』

T44「Aなりに悩んで出した結論だから、止めはしない。でも、また戻っておいで。

ここがAの帰る場所だから」


ここが自分の帰る場所。そう聞いて嬉しかった。

帰る場所なんてないと思ってた。淡路の家とはとうの昔に縁を切っていて、大切な人は皆向こうにいて。

でも、ここにも大切な人はいるんだ。


T44「一つだけ、約束して。俺らより先に向こう側に行ったら駄目だよ」

『わかってます』

ようやく解放されて、次は同級生、、と思ったら違ったみたい。


ゆずの「栄光の架橋」が流れた。

この曲を知っている。いや、認知している。他の人とは違う感覚で。



ゆっくりと、梅野さんが指差す方を見た。


そこには、志半ばでユニフォームを脱いだ彼がいた。

天然で、馬鹿で、それでも憎めなくて。とにかく大好きだった。







『よこたそ……！』

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