冷たい。 ページ21
F25side
F30「あそこ誰か倒れてません！？」
「は？」
バファローズ戦最終日、投手陣で飲みに行った帰り。
鍵谷が急にとんでもないことを言い出した。
「いや、見間違いちゃうん？」
F51「誰か見に行きます？」
F15「…あれ、確実に人ですよ？」
いや、見に行ったんかよ。
F30「え……？A…？」
「！？……あかん、体冷たい！」
氷のように冷たくなってしまったAが今にも消えそうで。
久しぶりに怖い、と感じた。
これ以上冷たくならないように、と着ていた上着を彼女にかけた。
それでも体温は上がらなくて、少しずつながらもAの身体は冷たくなる一方だった。
F30「一回、俺らが泊まってるホテルに連れていきましょう。そこで看病した方が絶対にいいです。」
.
鍵谷の判断でホテルまで運び、ベッドへ寝かせた上である人を呼んだ。
F2「宮さん、ありがとうございます。A、久しぶり……でも、なんでこんなことに？」
「やられとるの見たわけじゃないからまだわからんけど。多分昨日の延長戦や。」
昨日あったことは念のため拳士には報告している。
F2「でも、ファイターズにいたらAを混乱させるし…」
「そこは心配すんな。藤浪のとこが保護してくれる言うてたから。」
F2「え？どういうことですか？」
「拳士は知らんかったんか。家出の度に(森)友哉とか誠司とか藤浪のとこに避難しとったらしいで。」
F2「………」
そら黙るか。
いくら野球繋がりとはいえ人脈の広さはえぐすぎるよな。
F2「A以上に広い人脈をもつ人いませんよね？」
「間違いない。」
F2「年上に敬語使わなくて怒られないのAと翔平くらいっすよね？」
Aは先輩後輩マスコット関係なしに釣るからな―。
怒るに怒れない人の代表。
なんて話をしつつ、藤浪の親が来るのを待っていた。
.
「Aをお願いします。」
そう言う時に少し声が震えた。
でも、今できるのは無事を願うことだけ。
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作者名：神瀬結衣＠虎党 | 作成日時：2019年3月3日 0時
