心をなくした虎の子。 (ページ43)

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翔タイムページ43

"タイガースの選手"が自分だと気づいた瞬間、一斉に罵声が浴びせられる。

「帰れ―！」

「戻ってくんな！」

「謝れよ！」

ほら、だから戻れないの。

戻ったところで歓迎されないなら戻らない方が良い。どうせ自分は招かれざる客でしょ？

『…あんたらさ、今から来る人にもそうやってやるつもりなん？もう一人来とるんやけど？』

一瞬で静まり、呟く声すらも聞こえない。

『…翔平、来て良いよ。show timeだ！』

F2「…え、翔平？」

.

.

自分には三人、兄と慕う同級生がいる。

その内二人はタイガース、もう一人は海の向こうで活躍する二刀流。

『Thank you for coming.』

A17「これくらいどうって事ないよ。Aは自分の事に集中して。」

ありがと、と呟いてもう一度マイクを握る。

『…私が望むのは復讐だけだよ。日向美咲、出てきな。もちろん一人で。』

F9「美咲は関係ないやろ！」

『じゃあ、何が私をファイターズから追い出したん？言っとくけど証拠も証人もおんの。』

『正直、拳士からこの話が舞い込んできた時は大チャンスだと思ったよ。これで全部終わらせられるって。』

『生憎、私は美咲を許せるほど優しくない。罪は償ってもらうよ。』

ステージ上ですれ違う瞬間、翔平にお願いを。

『私が誰かを殴りそうになったら止めて。』

ごめんね、もう止まらないよ。

皆を守って。

私から遠ざけて。

私を救って。